PR

ニュース プレミアム

【近ごろ都に流行るもの】「温泉宿の味を通販」 旅はガマン…名物を食べて応援 

熱川温泉の宿から届いた「金目鯛の漁師煮」。自宅で熱燗とともに(重松明子撮影)
熱川温泉の宿から届いた「金目鯛の漁師煮」。自宅で熱燗とともに(重松明子撮影)
その他の写真を見る(1/4枚)

 今は泊まりに行けないけど、頑張れ! コロナ禍による客激減にあえぐ宿の味を取り寄せ、応援する取り組みに注目したい。温泉宿に特化した旅行会社「ゆこゆこ」(加盟3000軒)が昨年7月に始めた通販「ゆこゆこ旅市場」。料理を通じて顧客との縁を保ち、新たな収入源として苦境を乗り切ろうという試みだ。客側にとっては、自宅にいながら旅先の味が楽しめる。これまでネット通販のみだったが、中心顧客のシニア向けに電話受注も始める。(重松明子)

 静岡・伊豆の名産「金目鯛の漁師煮」が自宅に届いた。ピンク色の幅30センチもある魚体に頬がゆるむ。首都圏の緊急事態宣言を受けて臨時休業中の熱川(あたがわ)温泉「ホテル志なよし」(静岡県東伊豆町)が通常4600円で出している料理を半額でお取り寄せできた(漁獲状況により価格変動の可能性あり)。甘辛くふっくらした身に日本酒が進み、心地よい旅気分…。

 宿に電話取材を申し込んだ。「冬場の今が旬」と調理長の田村真人さん(58)。「地元のキンメをふわっと泡が包むように煮上げた夕食の人気メニューを、通販用に瞬間冷凍しました。直接お会いできなくても『おいしい』の言葉が励みになります」

 四代目にあたる常務の池田亮馬さん(30)は、「誰のせいでもないこの事態。新しいアクションを起こさなければとの思いで通販を始めた」。同宿のキンメは、ゆこゆこ旅市場の売り上げトップ商品となり、生産が追い付かないほどの人気だ。2月中にはサザエ飯や鮑グラタンなども追加で商品化する。

 この宿の昨年の宿泊客は前年の3割にまで激減した。食材を供給する地元の漁業・農業関係者にとっても打撃は大きい。熱川温泉は昭和40年代の人気ドラマ「細うで繁盛記」の舞台にもなり繁栄したが、近年は「ねつかわ」と間違えて呼ばれるような“地盤沈下”も課題となっている。「料理の通販で熱川温泉の知名度も広げたい。他の宿とも連携して再興のまちおこしにつなげられれば」と池田さん。ピンチの中でも前を向く。

 昨年4~5月に、30軒の加盟宿が廃業。「前年秋の台風で打撃を受けた千葉県や長野県の宿が、最初の緊急事態宣言で持ちこたえきれなくなった」。ゆこゆこホールディングス(東京都中央区)代表取締役COO、徳田和嘉子さん(37)が振り返る。

 そんなさなかの4月、宿へのエールを募集したところ、3日で6000通超が集まった。「落ち着いたら必ず行きます」「どうか乗り越えて」「旅は人生最大の楽しみ。待っていて」…。激励の声に押され、7月に通販の旅市場を立ち上げた。担当の森田竜也さん(36)は、「宿とお客さんがコロナ禍でもつながりを保てる手段として、また、味を気に入り、収束後に泊まろうという新たな顧客開拓の接点にしたい」

 本業の宿泊取り扱い件数は昨年、一昨年の240万人から100万人も減った。最悪期の昨年5月は前年同月比94%減と壊滅的だったが、10月から観光支援事業「Go To トラベル」が東京都民にも拡大されると発表された9月には、前年同月比5倍もの新規会員を獲得できた。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ