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【深層リポート】千葉発 世界の4分の1を支える国産資源 広がるヨウ素の可能性、産学官で追求

直径数ミリの球状に加工されたヨウ素(伊勢化学工業提供)
直径数ミリの球状に加工されたヨウ素(伊勢化学工業提供)
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 間もなく東日本大震災の発生から10年がたつ。東京電力福島第1原発事故で社会不安が広がった当時、甲状腺被曝(ひばく)を防ぐ医薬品として注目されたのが「安定ヨウ素剤」だ。ヨウ素(ヨード)は千葉県が世界の4分の1を産出する天然資源で、資源に乏しい日本の数少ない例外として海外にも輸出されている。近年はパソコンの液晶画面や次世代太陽電池などにも使われ、県内では産官学を挙げて新たな可能性を追求している。

次代担う若手育成

 今月24日、千葉大に事務局を置くヨウ素学会が、高校生向けにオンライン講演会を開いた。各地から70人以上が参加した講演会では、ヨウ素研究の第一人者である同学会の海宝龍夫理事が生産方法や使い道、研究の最前線などをわかりやすく説明。参加した高校生からは「ヨウ素はどのように(地下に)溶けているのか」「千葉大でヨウ素を学ぶなら、どこが良いか」といった質問が出され、関心の高さをうかがわせた。

 講演会を開いた理由の一つは、次世代のヨウ素研究を担う若手の育成だ。ヨウ素といえば安定ヨウ素剤のほか、ヨードチンキなどの殺菌剤や、うがい薬などが知られる。

 だが、これらは用途の一部に過ぎない。X線コンピューター断層撮影(CT)装置による心臓や脳などの検査ではヨウ素を含んだ造影剤が使われ、県内から欧州の造影剤メーカーに供給されている。

 パソコンやスマートフォンの液晶画面にも使われ、地球温暖化対策の関連では、東大の宮坂力フェローが開発した塗料のような次世代太陽電池が、ヨウ素の新たな使い道として期待されている。

 さまざまな可能性を秘めたヨウ素を新たな活力につなげようと、県は平成30年、千葉大や地元企業などと連携し、「千葉ヨウ素資源イノベーションセンター」を同大に設置した。海宝氏は「ヨウ素は貴重な国産資源だ。オールジャパンでの研究開発につなげていきたい」と話す。

天然ガス採取に付随

 千葉県でヨウ素が大量生産できるのは、地下に広がる国内最大級の天然ガス鉱床「南関東ガス田」のおかげだ。ヨウ素は天然ガスとともに、地下深くで海水のような塩水に溶け込んでいる。もともとは海水や海藻に含まれるが、濃度が極めて薄い。それが地下で長年かけて濃縮され、海水の約2千倍もの濃度となって取り出しやすくなった。

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