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【一聞百見】ブラタモリにも出演 地形の達人が語る「坂」 新之介・大阪高低差学会代表

 その年明けの2月、ブログ仲間と4人で大阪高低差学会を立ち上げた。堅い名称だが「学会とつけたからには、真面目に学んで、楽しもうと考えた」。少しずつ地形に関心を持つ人は増え、会員数は現在、250人を超えている。

大事なのは楽しいかどうか

 平成25年に大阪高低差学会を立ち上げてからの環境の変化は「人生が変わってしまった」と驚くほどという。以前は、知り合うのは、大阪近辺の人がほとんどだったが、同会設立後は、全国の地形愛好家との交流が盛んになった。

「地形を意識して歩くと、古代の痕跡に気付くことがあります」=大阪市天王寺区(柿平博文撮影)
「地形を意識して歩くと、古代の痕跡に気付くことがあります」=大阪市天王寺区(柿平博文撮影)
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 その一つが地形散歩の先駆けとして知られ、15年に発足した「東京スリバチ学会」だ。合同でフィールドワークやイベントを実施することもある。

 同会会長の皆川典久さんに本の執筆を勧められ、28年5月に刊行したのが初の著書『凹凸を楽しむ 大阪「高低差」地形散歩』(洋泉社)だった。起伏が分かりやすい地図や写真がふんだんに盛り込まれ、当時、大阪の多くの書店で平積みされ話題になった。

 刊行後間もなく、NHKの人気番組「ブラタモリ」のディレクターから番組出演のオファーがあった。タレントのタモリさんが街を歩き、残された痕跡から街の歴史や文化を再発見するというコンセプトの人気番組だ。

 当時の大河ドラマは大坂の陣を戦った戦国武将、真田信繁(幸村)が主人公の「真田丸」だった。大坂の陣で信繁が構築した真田丸の場所については諸説あり、場所や形について自身のブログで考察していたことも影響したのだろう。「いろんな偶然が重なって出演させていただいた」

 撮影は28年9月。超高層ビル「あべのハルカス」から上町台地を眺めたり、大阪城を案内したりした。タモリさんの思考を想定した綿密な台本が用意されているというが、台本通りには進まない。タモリさんがもっと面白くしてしまうのだという。「相当な知識量があり、圧倒されっぱなしだった」と振り返った。

 タモリさんと会話できたのは2日目の撮影が終わってから。自著を謹呈したところ、「愛読しているよ」との答えが返ってきた。「一言二言しか話していないのに、一生残るようなうれしいことを言ってくださった」と今も感動が冷めやらない。その2カ月後、「大阪」と「大坂城・真田丸スペシャル」として放送された。

著書の最新刊『ぶらり大阪「高低差」地形さんぽ』(140B)
著書の最新刊『ぶらり大阪「高低差」地形さんぽ』(140B)
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 著書やテレビ出演が話題となり、講演依頼やフィールドワークへの参加者も増えた。昨年、新型コロナウイルスの感染が拡大して以降は、講演などイベントは控えているが、この間も一人で地形散歩へ出かけている。

 昨年11月には、4冊目の著書『ぶらり大阪「高低差」地形さんぽ』(140B)を刊行。本紙夕刊で昨年3月まで3年間連載した記事に加筆し、写真も追加した。スマートフォンを活用した地形散歩の楽しみ方も紹介されており、充実した内容となった。

 40歳を過ぎ、自分の町を知りたいと町歩きを始め、地形散歩へと深めてきた。本業(広告会社勤務)も多忙なのに、丹念に現地に足を運び、ときには資料を求めて図書館に通い、地形について知識を深めてきた。「仕事でなく、趣味の延長線上にあるから楽しめる。自由だし、プレッシャーもない」。大事なのは楽しいかどうか。地形散歩の達人が教えてくれた。

【プロフィル】しんのすけ 昭和40年、大阪市生まれ。広告会社に勤務する傍ら、平成19年にブログ「十三のいま昔を歩こう」を開設。「新之介」はこのときにつけたハンドルネームで、本名に由来している。25年に大阪高低差学会を設立し、現在、代表を務める。28年、NHKの「ブラタモリ」に2回出演した。著書に『凹凸を楽しむ 大阪「高低差」地形散歩』や『凹凸を楽しむ 阪神・淡路島「高低差」地形散歩』『ぶらり大阪「高低差」地形さんぽ』など。

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