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創作活動と自宅鑑賞を連動 音楽演奏会もコロナ禍で新展開

「月の沙漠プレミアムコンサート2020」の奏者。(左から)語りを担当した琵琶奏者の田原順子、馬頭琴の嵯峨治彦、ウードの常味裕司、ソプラノの大城みほ、バラライカの北川翔、ギターの柴田杏里、リュートの櫻田亨(実行委員会提供)
「月の沙漠プレミアムコンサート2020」の奏者。(左から)語りを担当した琵琶奏者の田原順子、馬頭琴の嵯峨治彦、ウードの常味裕司、ソプラノの大城みほ、バラライカの北川翔、ギターの柴田杏里、リュートの櫻田亨(実行委員会提供)

 コロナ禍で開催が見送られ、費用負担に苦しむ音楽演奏会が、東京都の対策支援に伴う資金供与で立ち直り、好評のうちに開催された。それだけではない。演奏会の動画制作が合わせて行われ、将来に向けて活動の知名度を上げる足場をつかむこともできた。「オンラインをツールに、創作支援と自宅鑑賞を同時に提供する」という、新たな取り組みが確立しつつある。

 演奏会は「月の沙漠プレミアムコンサート2020」(日本アラブ協会など後援)。アラブ世界で「楽器の女王」と呼ばれる弦楽器ウードと、そこから派生したリュートやギター、ソプラノによるアンサンブルだ。ロシア民謡に欠かせないバラライカで日本唯一のプロ奏者、北川翔さんと、モンゴルの弦楽器である馬頭琴の奏者、嵯峨治彦さんも参加し、10月17日、東京・西池袋の「自由学園明日館」で入場制限などの徹底した対策の下で行われた。

 3月の開催予定がコロナ禍で延期となり、再度計画した7月も見送りを余儀なくされた。先行きは不透明で、入場制限で採算が合わず、会場のキャンセル料などの負担で経費はかさんだ。ファンはチケットを持ったまま開催を待った。そこで知ったのが、東京都の芸術文化活動支援事業「アートにエールを! 東京プロジェクト」だった。

 「文化の灯を絶やさないため、感染症対策の段階に応じて、無観客か入場制限のある公演の制作と動画配信を行い、自律的な創作活動の支援と、在宅で芸術文化に触れる機会を提供する」。採用した企画には200万円を支給し、公演の動画を撮影、編集して専用サイトで公開する。

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 コンサート実行委員会が申請したのは「ステージ型」と呼ばれる部門で、応募総数1470件のうち採用された300件の1つに選ばれた。音楽以外のさまざまな芸術が競合する中で残ったのは、単なる音楽演奏会ではなく、希少な文化を体験し、広めていくという活動にあったようだ。

 実行委員会代表で、ソプラノ歌手の大城みほさんは「これからの音楽の在り方として、生演奏に頼らず、ネット配信などの新しい発表方法を考えることも条件だったと思う」と話す。成果と課題の報告では、「会場に来られなかった人にも希少な楽器を知ってもらうことができ、将来の可能性を感じた。弦をはじいて演奏する撥弦楽器は室内楽器のため、コロナ禍での公演は難しく、収益の上がる動画配信を模索しなければならない」としている。

 ただ、今後も続けていく覚悟と勇気をもらったのは間違いない。動画配信でアラブ音楽を知ってもらうため、「人材を募って実行委員会内にIT部門を設置する」と大城さん。ネットで情報収集する若者も、よいと思った音楽は生演奏を聴きにいくという指摘もまた後押しになっている。

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 「月の沙漠コンサート」は企業も社会貢献の一環として支援した。後援に関係している「コスモエネルギーホールディングス」は3年前から協賛しているが、今回は「月の沙漠コンサートmovie」と、コンサートで演奏を披露した常味裕司さんによる「常味裕司アラブ音楽講座入門編」の動画を制作し、同社のHPでも順次公開する。

 「コロナ禍でも公演を続けていくことが大切という観点と、無観客での動画撮影でも自宅で無料で音楽を楽しめるようにという社会貢献活動の一環として、協賛をいただいた」と大城さん。「月の沙漠コンサートmovie」はインタビューも入り、自宅で映画を見るように演奏を楽しむことができるという。

 動画は「「月の沙漠プレミアムコンサート2020」で検索すると楽しむことができる。大城さんは今後、「月の沙漠コンサート」のホームページで鑑賞できるようにする予定だ。

 一方で、ウードは中学校の教科書でも紹介されるようになり、大城さんは学校で演奏を体験する機会も持ちたいと考えている。コロナ禍でも創作活動の広がりに期待が持てるようになってきた。

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