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密漁に終止符打てるか 漁業法改正で罰則強化、ナマコなど「タグ付け」で追跡も

 高額で取引されることから「黒いダイヤ」と呼ばれ密漁が問題となっているナマコに代表される特定水産動植物をめぐり、関係当局が取り締まりを強化している。12月からは漁業者以外による捕獲・採集を原則禁じる改正漁業法が施行。個体にタグ付けをして消費者に届くまで追跡する漁獲証明制度も、来年以降に導入に向けた取り組みが本格化する見通しだ。「獲り得」と揶揄(やゆ)され、暴力団の資金源ともなってきた密漁者との「いたちごっこ」に終止符を打てるか。

罰金大幅引き上げ

 12月1日に施行された改正漁業法の目玉は、罰則の大幅強化だ。ナマコやアワビなどの高額で取引される特定水産動植物について、これまでは一般人でも一部海域で自由に捕獲・採集できたが、今後は原則として採捕禁止に。漁業者についても、採捕できる海域は都道府県知事が定めた範囲に限定される。

 漁業法で定められた罰則は従来、最も重い罪でも懲役3年以下、罰金200万円以下だったが、特定水産動植物を無許可採捕したり密漁品の譲り受けるなどした場合、懲役は3年以下で変わらないが、罰金は個人に対する最高額となる3000万円以下と、大幅に引き上げられた。

 漁獲証明制度の詳細については、来年1月から始まる漁業者へのヒアリングなどを経て、2年後をめどに固める方針。漁協などがナマコなどに個体識別番号を振り、卸業者から消費者に販売する小売業者まで、取引をするたびにその番号を明記する方法などが検討されているという。

暴力団への対策

 「念頭に置いているのは、密漁を資金源としてきた暴力団への対策だ」。水産庁関係者は、今回の法改正についてこう断言する。

 水産庁によると、平成17年中に密漁で摘発されたケースのうち、漁業者は660件、漁業者以外は649件だったが、18年には逆転。30年には漁業者以外が1185件と、漁業者(270件)を大きく引き離している。水産庁関係者は「『漁業者以外』には、相当数の暴力団関係者が含まれている」と明かす。

 ナマコなどは、中国などで高値で取引される高級食材として知られ、市場価値は高い。今年11月の東京都中央卸売市場での取引価格は、1キロあたり1855円にもなる。

 ナマコだけではない。ウナギや通常の鮮魚も暴力団の密漁対象となっていたことが、警察当局の捜査で明らかになっている。

 昨年1月には、北海道警が暴力団が密漁したナマコを仕入れたとして札幌市の水産加工業者に勧告。同年3月には、高知県警がウナギの稚魚「シラスウナギ」を密漁した疑いで暴力団員の男を逮捕している。

残る課題も

 なぜ、暴力団が絡む密漁が横行するのか。密漁に詳しい指定暴力団関係者は「密漁は法律も抜け穴だらけ。獲り得だ」と明かす。

 この暴力団関係者によると、密漁が盛んとされる瀬戸内海などでは、水産庁や海上保安庁の船に発見されても逃げられるように、船を推進させる船外機を2倍設置した高速船を導入している密漁者もいるという。

 「これまでの法律だと、漁業権の設定されていない海面では漁業者以外でも自由に採捕が可能だった。現行犯が原則だから、捕まることはほぼなかった」と明かす。

 今回の一連の法改正は、こうした密漁の横行に歯止めをかける狙いがある。水産庁関係者は「現場で取り締まりがしやすくなるのではないか」と期待を寄せるが、高速船を駆使する密漁者の追跡や密漁品をさばく組織的な闇ルートの解明など、課題も残されている。

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