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【アジア見聞録】共産党支配のネパールでなぜ 「王制復古」求めるデモ相次ぐ

 「そうした共和制移行後の泥沼の政争が、一時は完全に支持を失った王室の復活論が高まる背景にある」と話すのは、国内政治に詳しい地元シンクタンク、ネパール国際協力・参画研究所のプラモド・ジャイスワル研究員だ。

“宮中クーデター”疑惑で権威失墜

 08年の共和制移行の直接のきっかけとなったのは王室やギャネンドラ氏への不満だった。不信感が急速に高まったのは、当時の国王を含む計10人が死亡したミステリアスな王宮銃撃事件(01年)だ。

 同事件では、ギャネンドラ氏の実兄であるビレンドラ国王夫妻らが、泥酔したディペンドラ皇太子に射殺され、同皇太子も自殺した-とされる。

 事件は王宮内の密室で起き、目撃者は限られている。結果的にビレンドラ国王一家は全員死亡したが、ギャネンドラ氏の家族は生き残った。事件後、ギャネンドラ氏が国王として即位したが、国民の中で事件の黒幕として疑う声は現在も消えない。

 国王不信を決定的にしたのが05年2月の国王による“クーデター”だった。ギャネンドラ氏は非常事態を宣言し全閣僚を解任。兄のビレンドラ国王が進めた立憲君主制を否定し、絶対王政開始を画策した。結局、主要政党の反発で政権を返上したが、国民の国王への不満は高まり、抗議デモが活発化した。

 合言葉は「泥棒ギャネンドラは国を去れ」。今回のデモとはまったく逆のスローガンが叫ばれていた。

中国が王制復活を望む?

 今後のネパールで王政復古への動きが急加速するかといえばそうではない。「中高年以上には旧王室への一定の敬意もあるが、若い世代はそうではなく、ギャネンドラ氏への反発は根強い」とはジャイスワル氏の分析だ。

 ネパールの混乱を注視するのがインドと中国だ。ネパールには同じくヒンズー教が多数派を占めるインドが伝統的に影響力を持ってきた。しかし、近年は巨大経済圏構想「一帯一路」を通じた経済支援をテコに中国が存在感を増している。習近平国家主席は19年10月、国家主席として23年ぶりにネパールを公式訪問。両国を結ぶ鉄道建設に意欲を示すなど国内のインフラ整備を支援する方針を表明した。

 ジャイスワル氏は「仮定の話」と前置きしたうえで、「もしかしたら中国は数年ごとに首相が変わるネパールの政情を嫌気して、王制を望むかもしれない。王制復活はネパール国内の事情だけではなく、インドや中国の思惑にも左右されるだろう」と話している。

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