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【日本語メモ】「レーザービーム」も補殺

校閲部
校閲部

 2019年にメジャーリーグで現役引退したイチロー氏(47)=本名・鈴木一朗、マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクター=が、高校球児に対して 初めての指導をしたというニュースがありました。イチロー氏は19年12月に学生野球資格回復研修を受けて、20年2月に、晴れて高校生や大学生を指導できる立場になりました。11月の新聞大会で記念講演を行ったイチロー氏は、その場でも高校野球の魅力を語り、球児の指導に対する意欲をみせていました。そのイチロー氏の現役時代の代名詞といえるのが、強肩から繰り出す矢のような好送球を表す「レーザービーム」です。

(1)右翼手から本塁への好返球で、鮮やかな捕殺が完成した。

 「補殺」は「野球で、打者あるいは走者をアウトにすることを間接的に助けること。また、そのプレー」(日本語大辞典)。補助するということです。英語では「ASSIST」と表記します。イチロー氏の「レーザービーム」も、外野から内野(主に三塁、本塁)への送球による補殺です。「打球を捕ってアウトにする」というイメージから「捕殺」と誤って書いてしまうのでしょう。「捕殺」の本来の意味は「捕まえて殺す」こと。「害獣を捕殺する」などの用例があります。

 野球用語では「アウト」を「殺」「死」と和訳しますが、字でみると、「三重殺(トリプルプレー)」「二塁で刺殺された」など、物騒な感じがします。このご時世ですから、将来、「殺」「死」の表記が変わるかもしれません。

(正解例)右翼手から本塁への好返球で、鮮やかな補殺が完成した。

(2)大雨もものかわ、先遣隊は目的地へ出発した。

 「ものかは」は形式名詞「もの」に係助詞「か」「は」が付いた連語。「なんとも思わない。かまわない」(日本語大辞典)という意味です。古い感じの表現ですが、ときどき見かけます。「こんにちは」を「こんにちわ」と誤って書く人もいるようですから、例文のような誤りも出てくるのでしょう。「わ」と「は」の書き間違いには気をつけましょう。

(正解例)大雨もものかは、先遣隊は目的地へ出発した。

(3)A市とB市との窓口対応には隔世の感がある。

 「隔世の感」とは「世の中が著しく変わったという感じ~」(故事・俗信ことわざ大辞典)を表します。おそらく例文でも、「大きなギャップがある」ということを表現したくて「隔世~」を使ったのでしょうが、こちらは時間のギャップによるものです。「程度の差」や「待遇の良しあし」を表現するなら「雲泥の差」でしょう。「雲」は天にあり「泥」は地にあることから、天と地ほどの大きな隔たりといったニュアンスがあります。

(正解例)A市とB市との窓口対応には雲泥の差がある。

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