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【一聞百見】専門知識と好奇心で生き抜く 兵庫県立美術館館長 蓑豊さん 

本棚に並ぶ多くの資料図書中国の古陶磁を背景に。館長室でインタビューに応じる蓑豊さん=神戸市中央区の兵庫県立美術館(南雲都撮影)
本棚に並ぶ多くの資料図書中国の古陶磁を背景に。館長室でインタビューに応じる蓑豊さん=神戸市中央区の兵庫県立美術館(南雲都撮影)
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 古今東西、ユニークなキャリアを積んだ人の話はおもしろいものと相場は決まっている。かのハーバードの博士号をもつ兵庫県立美術館の蓑(みの)豊館長(79)は、美術商を振り出しに陶磁研究者、米国の著名な美術館の東洋部長を歴任後、日本にもどって名だたる美術館の館長をつとめてきた。その蓑さんに、厳しい時代をたくましく生き抜くヒントを聞いた。

(聞き手・編集委員 正木利和)

誰にも負けない専門を持つ

 館長室で蓑さんはうれしそうな表情をして古陶磁の破片をテーブルに並べていった。かつてエジプトや中国など世界各地を回り、自分の手で掘り出したものだ。当方もこうした陶器のかけらを見るのはきらいなクチではない。いい手触りだ。ちょっとした箸置きに使えるんじゃないか。

 「どう? いいでしょう?」。父親が茶道具の古美術を商っていた関係で、テニス好きな湘南ボーイは大学を出ると東洋古美術で有名な東京・日本橋の「壺中居」に入った。この店には、錚々(そうそう)たる目利きたちが通った。青山二郎、小林秀雄、白洲正子、小山冨士夫…。「大学を出て3年半住み込み。夜は自分だけの時間だから、ずっと中国陶器をスケッチしてた」

ハーバード大学院の卒業式で両親と=1977年(本人提供)
ハーバード大学院の卒業式で両親と=1977年(本人提供)
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 そうこうしているうちに突如、中国陶器のわかる若い学者をさがしていたカナダ・トロントのロイヤル・オンタリオ美術館に赴くことに。中国陶磁器の大家、小山冨士夫が紹介してくれたのである。勢いいさんでふたつ返事をしたものの英語はからっきし。とりあえず、横浜から船でサンフランシスコに渡った。昭和43年のことだ。その船中、一本の電報をもらう。「学者になるまで帰ってくるな、という小山先生の電報でね。その電報がわたしの人生を変えた」

 ミシガン大学で数カ月、英語を学び、翌年には美術館の8千点にもおよぶ中国陶磁を調査した。昼は陶器や陶片を見、夜は中国で出版された考古関係の本と首っ引き。そんな暮らしを送った。本として出版されたその研究が認められ、2年後にはハーバード大学の大学院博士課程に。修了後、カナダ・モントリオール美術館、米国・インディアナポリス美術館、さらにはシカゴ美術館でいずれも東洋部長としてキャリアを重ねていった。

(次ページは)人間関係築いて大きな仕事…

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