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【日本語メモ】火中の栗など拾いたくない

 新型コロナウイルスの脅威に世界が覆われ続けている状況では、社会もどことなく閉塞感に包まれ、留飲が下がるような出来事になかなか遭遇することがありません。絶対的なワクチンや特効薬が全体に行き渡り、今の生活様式から少しでも解放される時期が来れば、少しはスカッとした気分になれるのでしょうか。そんな時が早く訪れることを願うばかりです。

(1)A国への報復措置で国民は留飲を晴らした。

 「故事・俗信ことわざ大辞典」によると、「溜飲」は「胃の消化作用が不調で酸性のおくびが出ること。~胸やけ」。「おくび」とは「げっぷ」のことです。「溜飲が下がる」は「胸がすっきりして気持ちが良くなる。不平不満が解消して気分が落ち着く」。「留飲を下げる」は「(自発的に)不平不満を解消して気を晴らすこと」を表します。「溜」が常用漢字ではないので、新聞表記では「留飲」と書き換えます。また、「留飲を晴らす」は誤用で、「気分を晴らす」から連想したものかもしれません。

(正解例)A国への報復措置で国民は留飲を下げた。

(2)あえて渦中の栗を拾う覚悟で監督に就任した。

 「火中の栗を拾う」という成句は、実はフランス生まれです。ラ・フォンテーヌの寓話(ぐうわ)で、サルが猫をおだてて、いろりの中の栗を拾わせ、猫が大やけどをしたというもの。意味は「他人の利益のために危険を冒す」(大辞林)ことですが、この例文では「自分の不利益になるかもしれない、あぶないことをする」(三省堂国語辞典)の意味合いが強いと思います。周囲がそのように見ていても、本当に「火中の栗を拾う」心境なのかどうかは、本人にしか分からないのではないでしょうか。安倍晋三氏の後を継いだ菅義偉首相や、プロ野球・楽天ゴールデンイーグルスのGMで監督兼任となった石井一久氏については、一部メディアに「火中の栗を拾った」とも書かれていますが、実際のところはどうなるか。大きな成果を挙げれば、評価は一変することでしょう。

(正解例)あえて火中の栗を拾う覚悟で監督に就任した。

(3)原因不明の伝染病が幼児を中心に広がっている。

 人に関する「伝染病」の表記は、平成11年に施行された「感染症法」により使われないようになり、「感染症」と表記しています。ただし獣医学分野では「家畜伝染病予防法」などがあるため「伝染病」を使うこともあります。新型コロナウイルスも指定感染症として適用を受けていますが、この判断については議論のあるところです。

(正解例)原因不明の感染症が幼児を中心に広がっている。

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