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門松、熊手、クリスマスツリー…「みかじめで購入」は業者にも罰則、都改正暴排条例で“悪習”打破

東京・渋谷の繁華街を歩く人たち=10月2日午後、東京都渋谷区(鴨川一也撮影)※本文とは直接関係ありません
東京・渋谷の繁華街を歩く人たち=10月2日午後、東京都渋谷区(鴨川一也撮影)※本文とは直接関係ありません

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、大きな影響を受けた飲食店などでは新たな思いで、正月飾りの準備を考える時期を迎えている。警視庁は10月、東京・渋谷の業者に門松を購入させ、実質的な「みかじめ料」を得たとして、暴力団幹部らを摘発した。正月飾りのほかクリスマスツリーなども縄張り内の店に買わせ、資金を得る手法は慣習化し、都内の繁華街にはびこっている可能性があるという。新型コロナの影響で資金難に陥る組もある中、警視庁は「古くからの資金源も断ち、さらに追い詰めていく」と厳しい姿勢で臨む。

「よろしく」の意図

 「今年も注文するんで、よろしくね」。昨年11月、渋谷区道玄坂の老舗ストリップ劇場前で、暴力団組員の男が70代の男性店員にこう話しかけていた。

 組員が店側に伝えた「よろしく」の意図は、門松の購入の要求。専門業者に注文した門松を劇場側に高値で売りつけ、組の縄張り内で営業を認める対償にあたる「みかじめ料」を得る-という構図だ。

 警視庁組織犯罪対策3課は今年10月、摘発に乗り出す。都暴力団排除条例違反容疑で劇場側に門松の購入を持ち掛けた指定暴力団稲川会系組員の男(52)ら3人を逮捕した。

 男は、別の同組員の男(62)とともに、購入の持ち掛けから約1カ月後の昨年12月、再び店を訪れ、約3万円で入手した門松1対を8万円で購入させた疑いが持たれていた。

 差額にして約5万円。組対3課はこれをみかじめ料と認定、指示役として同組幹部の男(53)も逮捕した。52歳の男は「門松は組の資金源だった」と認めたが、伊佐容疑者と東容疑者はいずれも否認した。

熊手、ツリーも

 地検はその後、3人を不起訴処分としたが、警視庁の捜査の過程で判明したのは、約20年前から組員らが劇場を訪ね、門松を購入させ続けていた事実だった。

 「縁起物として飾る習慣を逆手に取っていた。渋谷だけでなく、他の繁華街でも同種の行為が存在している可能性がある」。捜査関係者は指摘する。警視庁は渋谷区内の飲食店や風俗店などを対象に実態を調べる方針だ。

 暴力団は例年、11月ごろから業者に門松や熊手、干支の置物などの正月飾りの発注を始める。ある暴力団関係者は「昔は12月ごろになると、シマ(縄張り)のバーやスナックに、クリスマスツリーや凝ったリース(装飾)を届ける組もあった。店も『どうせ準備する必要があるから』と買っていた」と明かす。

「自首」呼びかけ

 昨年10月に改正都暴排条例が施行され渋谷や新宿、銀座、浅草、錦糸町など、都内29地域が「暴力団排除特別強化地域」に指定された。飲食店などが集中し暴力団が活発に活動していると認められる地域で、みかじめ料の授受が条例で禁られることになった。

 改正条例の最大の特徴は利益供与した事業者側も罰則対象になったことだ。勧告などの措置を経ずに摘発対象となり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。一方、同条例では「業者が自首した場合、刑の任意的減免が可能」とも規定している。

 捜査関係者は「刑事罰を受け入れるか、暴力団との関係を維持するか、悩んでいる店も多いだろう」と分析するが、業者側の被害相談や申告件数はまだ少ないのが実情という。

 今年、新型コロナの影響で飲食店などの売り上げは激減。縄張り内からの上納金が減り、困窮する暴力団もあるとされる。警視庁幹部は「年末を控え、暴力団側がより強硬に、さまざまな物品購入を求めてくるかもしれない。このタイミングを関係を断ち切る契機とし、業者は警察へ積極的に情報提供してほしい」と呼びかけている。

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