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視覚障害者への理解を広げたい 全盲の経営者が「オリジナルマーク」作成

視覚障害者であることを周囲に知らせるマークを手にする酒井克己さん=5日、長野県諏訪市(原田成樹撮影)
視覚障害者であることを周囲に知らせるマークを手にする酒井克己さん=5日、長野県諏訪市(原田成樹撮影)
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 他人に体をぶつける、相手が会釈しているのに気づかない、食堂で隣の人の飲み物を飲んでしまう-。視覚障害が故の誤解やトラブルの防止に役立てようと、自身も全盲で金型・プレス加工業のキャムソン(長野県諏訪市)を経営する酒井克己さん(79)が、視覚障害であることを周囲に知ってもらうためのマークを作成した。視覚障害者が気楽に街に出られる社会を作り、新型コロナウイルス禍や空洞化で苦しい工場経営を勢いづけるきっかけにもしたいと願っている。(原田成樹)

白杖に抵抗感

 「白杖(はくじょう)は電車に乗るときには使うが、知り合いの車でレストランに行くときなどは持ったりしない」と酒井さん。白い杖(つえ)を持ちサングラスをしていれば視覚障害者と分かるが、常にそういう格好をしているわけではないと障害者心理を打ち明ける。

 酒井さんは、20代後半から少しずつ視野が狭くなり、頻繁に自動車事故を起こすようになって病気に気づいた。「霧の中にいるよう」だという病名は網膜色素変性症。約5千人に1人の割合で発症するといわれる難病と分かったのは30代後半だった。65歳ごろには全く見えなくなった。

 ただ、一見すると全盲とは気づかない。よく見れば目の焦点が合ってないが、言われなければ分からない。そのため、相手から失礼な人間だと誤解されることが多く、さりげなく告知でき、身に付けたくなるマークがあればと思いついた。

酒井克己さんが作成した視覚障害者マーク(原田成樹撮影)
酒井克己さんが作成した視覚障害者マーク(原田成樹撮影)
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「かわいい」デザインに

 最初は有名デザイナーに依頼したが、まとまった注文がないと難しいとのことで、知人にデザイナーを紹介してもらい自社で作ることにした。

 無償で協力してくれたのが、コロナの流行に伴って各地で生じた「他県ナンバー狩り」対策で、「○○県に住んでます」というシールをデザインして話題となっていた松本市の看板製作会社「アートプランニング」に勤める小山葉子さんだ。

 酒井さんは、ストレートに視覚障害をアピールするのでなく、十字とハートが組み合わさった「ヘルプマーク」や、母親が赤ちゃんを抱くハート形の「マタニティマーク」のようなイメージをリクエスト。小山さんは「老若男女誰もがかわいいと思うデザイン」を心掛け、最終的に目を閉じたハート形の顔の下に「I can‘t see」と書かれた、温かみのあるデザインに落ち着いた。

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