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海底の泥から魚のDNA300年分採取、個体数変遷追う

別府湾の海底から試料を採取する作業=平成29年
別府湾の海底から試料を採取する作業=平成29年

 海底の堆積物に含まれる魚類のDNAを、愛媛大学沿岸環境科学研究センター環境動態解析部門の加三千宣(くわえ・みちのぶ)准教授(52)=地質学=らの研究グループが過去300年にわたって発見した。これにより、魚の個体数変動が堆積物のDNAでとらえられることを世界で初めて実証したとしている。

70メートル下の海底から

 加准教授は、大型生物の個体群の動態を知ることのできる情報について、堆積物からDNAを取り出すことで生物量をとらえられないかと考え、大分県の別府湾で平成29、30年に調査を行った。

 船上から約70メートル下の海底にアクリルパイプを突き刺し、柱状の堆積物を100センチ採取するなどした。100センチは300年分に相当する。これを実験室に持ち帰り、縦に半分に割って1センチ間隔でスライス、精製した。その後「定量PCR法」という手法を用い、堆積物に含まれる魚種を特定していった結果、カタクチイワシやマイワシ、マアジのDNAを検出することに成功した。

 一方、別府湾では人の暮らしに密着しているこれらの魚種の漁獲量が記録として残っており、特にマイワシは江戸時代から記録があった。

 こうした記録と加准教授らが発見したDNA量の時系列の変動を対比させたところ、ほぼ同じグラフを描いたといい、堆積物中のDNA量が長期的な魚の個体数の変動を反映していることが分かったという。

泥の中のDNAを数える

 研究は、泥の中からDNAだけを取り出し、試料の泥1グラムの中にDNAが何個あるかを数える作業だった。「汚染には細心の注意を払いました。泥の試料8個を同時にみても丸4日間かかる作業で、それを130個調べました」と加准教授は解析の大変さを振り返る。

 別府湾ではイワシ類やアジのほか、アイゴ、シロギス、ゴマサバのDNAも見つかったほか、スナメリのDNAも確認できたという。

 「堆積物中のDNAで生物量の変動がとらえられるかという検証は、これまで誰もやっていなかった」という加准教授。「魚をはじめとする地球上のほとんどの大型生物は過去の変動が分かっていない」とした上で、「(生物が)少なくなっているのか、いないのか。絶滅するのか、しないのか。今回、私たちが提案した解析手法は、地球上の生物種の動態を追う研究の有用な技術となります」と期待を込めた。

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