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3か月連続で転出超過…コロナは「東京一極集中」の転機になるか

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、われわれの生活様式はさまざまな変化を強いられた。「3密」を防ぐという観点からリモートワーク(テレワーク)が促進されたのもその一つだが、こうした影響もあってか、東京から人が流出する動きが顕在化している。いわゆる「東京一極集中」が変わるきっかけになるのでは-との期待もあり、政府もコロナ禍を踏まえた地方創生を見据えるが、専門家は「都市から地方への住み替えは容易ではなく、都市と地方の交流を増やすことを考えるべきだ」と提言する。(原川真太郎)

半年で5000人超転出

 市区町村に提出された転入届をもとに住民の居住地変化を集計した総務省の「住民基本台帳人口移動報告」によると、東京都は緊急事態宣言後の5月、集計に外国人が含まれるようになった平成25年7月以降で初めて、他の道府県への転出が転入を上回る「転出超過」となった。

 宣言が解除された6月には転入超過に転じたものの、7~9月には3カ月連続で再び転出超過に。4~9月の半年間でみると、転入が19万4395人なのに対し、転出は19万9937人。5542人が東京を離れている計算になる。

 東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)でみても、7月と8月の2カ月連続で転出超過となっており、これも25年7月以降で初めての事態だ。総務省は「テレワークの定着などにより通勤の必要性が低下し、都心から郊外への住み替えが起きている可能性がある」としている。

国が有識者懇談会

 こうした動きを背景に、自治体の中には「テレワーク移住」を呼び掛けるなどして新型コロナを地方活性化の契機にしようという動きが広がる。

 静岡市は、新幹線代(最大1万2000円)と宿泊費(1泊当たり8500円)、オフィス使用料(4000円)を補助する1日~1週間程度の「お試しテレワーク体験事業」を展開。新幹線で首都圏に通う人の定期代を月額最大3万円補助している群馬県みなかみ町では、月数回程度出社するテレワーカーを念頭に制度を拡充し、乗車ごとの実費も対象とした。

 昨年末に、東京一極集中是正を目指す第2期5カ年計画「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(令和2~6年度)を決定した政府も、コロナ禍で広がった在宅勤務の浸透や地方移住への関心などが地方創生政策にどのような影響を与えるかを話し合う有識者懇談会を設置した。

 10月13日に開かれた初会合で、坂本哲志地方創生担当相は「感染症が地域に与える影響を踏まえ、中長期的な地方創生の取り組みの方向性を示していく必要がある」と話し、テレワークや地方移住を推進するための環境整備をしていく考えを表明。政府は懇談会での議論を反映させ、年内に地方創生の総合戦略を改訂するとしている。

「関係人口」の増加を

 ただ、コロナ禍における東京の人口推移を分析したグローバル都市不動産研究所の市川宏雄所長は「東京からの転出者は全体からすれば数はわずか。転出先の多くは埼玉、千葉、神奈川の隣接3県で、地方への転出は極めて少ない」と、コロナで東京一極集中の流れと地方への分散が加速する-という安易な見方にくぎを刺す。

 市川氏によると、転出者は20~30代が中心だが、23区内では千代田区など一部で人口が逆に増加しているところもあり、「長時間通勤や通勤混雑を嫌った人々が逆に都心部へ移転する動きと考えられる」という。

 一方で、今後については「1年~1年半もたてばワクチンや治療薬が開発されて感染は沈静化するだろうが、(リモートワークなどの)働き方の多様性が進むことで、大都市以外にも住む、あるいは行く場所を確保する、デュアルライフ(二重生活)を選ぶ人が生まれることが予想される」とも指摘。

 「地方への住み替えは簡単なことではない。都市から地方へと交流する『関係人口』を増やし、いかに地方にお金が落ちる仕組みをつくっていくかが大切だ」と話した。

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