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【志らくに読ませたい らく兵の浮世日記】古典落語「後生鰻」に出てくる過激なご隠居さん

らく兵
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 この数年でよく聞くようになった言葉のなかに「ヴィーガン」というのがあります。「ベジタリアン」なんてのは昔からよく聞きますが、肉や魚を食べないベジタリアンの中でも、より厳格に卵や乳製品を含めて口にしない人々をヴィーガンと呼ぶんだそうで。

 肉や魚を食べないのにはいろいろと理由があるでしょう。健康上の理由とか、宗教上の理由とか、はたまた動物愛護の気持ちからとか。もちろん人それぞれに事情があって、立派な考えがあるのでしょう。でもたまに問題になるのは、自分と考えの違う人に自分の主張を無理やり押しつける過激な人たち、というところでしょうか。

 今はネットでいろんな情報が入りますから、海外で過激なことをやった人たちの動画も流れてきます。どこかの国に旅行に行って、市場で鶏を売る人に殴りかかった菜食主義の女性。食肉工場に団体で乗り込んで作業を妨害する人たち。自分の考えが正しいと思うからこその行動なのでしょうが、その地域のまっとうな基準で働いている人々の邪魔をしては、みんなの納得を得るのは難しいかもしれません。

 こういうニュースもあんまり昔は聞かなかったなぁとは思っていたんですが、考えたら古典落語の中にこの過激な人たちとそっくりな登場人物がいました。「後生鰻(うなぎ)」という落語に出てくるご隠居さんです。

 その昔、たいへんに信心深いご隠居さんがいました。この人は、とにもかくにも殺生が大嫌い。文字通り虫も殺さないとはこのことで。毎日毎日、浅草の観音様にお参りに行きますと念仏ざんまい。帰りがけ、当時の天王橋のところまで来ますと、鰻屋さんが店先で鰻を割こうとしている。

 「これこれ、お前さんは何をしてるんだ」

 「えぇ、ウチは鰻屋ですから、二階のお客さんのご注文で鰻をかば焼きにするんです」

 「かわいそうなことをするんじゃない。百歩ゆずってかば焼きはいい。殺しちゃいけない」

 「無理ですよ、かば焼きの生き造りなんて」

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