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【一聞百見】ラテアート世界一 京が生んだ人気バリスタの味

ラテアート世界選手権元チャンピオンの山口淳一さん。作品は繊細で美しい=京都市中京区(永田直也撮影) 
ラテアート世界選手権元チャンピオンの山口淳一さん。作品は繊細で美しい=京都市中京区(永田直也撮影) 
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 世界遺産の二条城から南東に徒歩約10分。京都市の中心部を南北に走る西洞院通(にしのとういんどおり)が最近、地元で〝カフェ・ストリート〟と呼ばれている。こだわりのコーヒーを提供するおしゃれな専門店が増えているからだが、そんなブームの中心となる店「here(ヒア)」のオーナー、山口淳一さん(40)は、平成26年、東京で開催されたラテアート世界選手権で優勝。人気バリスタとして出身地・京都のカフェ人気を全国規模に広めた時の人だ。

(聞き手・岡田敏一編集委員)

苦いコーヒー嫌いだった

 市の中心部を東西に走る御池通から西洞院通を徒歩で2分ほど南下すると、左手に「here」が見えてくる。約130平方メートル、約40席の広々した店内はおしゃれでシンプル。地元の人や若い女性観光客を中心に、にぎわっている。早速、山口さんが淹(い)れてくれた看板商品のカフェラテ(500円)をいただいた。まず、エスプレッソマシンから紙コップにエスプレッソを注入。そこに蒸気で温めた滑らかでふわふわなスチームミルクを注ぎ込むのだが、絶妙な手さばきで、あっという間に表面に美しい木の葉のラテアートが浮かび上がる。時間にして約1分30秒。うち、ラテアートを描き出す工程はわずか30秒ほど。見事だが、味の方も、砂糖を全く加えていないのに、ほんのり上品な甘さを感じる。驚いていると、山口さんがこう言って笑った。

 「うちは甘い風味のコーヒー豆を使っていますから。そして、ミルクはうまく温めると甘味が増すんです。なので砂糖を加える必要はなくなるんですよ」。バリスタ、それも元世界チャンピオンと聞くと、神経質な職人肌の人物を想定しがちだが、山口さんは全くの逆。気さくで笑みを絶やさず、長時間の取材に応じてくれた。

 京都市生まれ。「小学6年生で身長が170センチあった」という長身を生かし、小・中・高では陸上選手として活躍。「大きな大会では常に好成績を収めていた」ものの将来、陸上で生きていくことの難しさも悟り、陸上を続けるための大学進学を断念。就職した。「京都市内の印刷会社で、機械を2人で操作するんですが、僕の方が若かったので、しんどい仕事ばかり任されて(笑)」。そんなこんなで半年で退社。19歳だった。どうしようかと考えつつも「まあ、何とかなるやろと」。結局、映画が好きなので伏見区内のレンタルビデオ店で働いた。「仕事は夜11時から朝9時まで。午前中は、借りた映画をずっと見る日々」だったが、ひとつだけ打ち込んだことがあった。英語の勉強だ。「具体的にやりたいことがあったわけではなかったんですが、海外に出れば面白いことがあるんかなと。なので、ビデオもハリウッド映画をよく見ました。25歳の時にはワーキングホリデーで豪・メルボルンで約4カ月過ごしました」。努力のかいあって「最終的にTOEIC730点くらい」のレベルに。ここで世界とコーヒーがつながるのかと思いきや、そうではなかった、というか、あり得ない答えが返ってきた。

(次ページは)人生最大の衝撃…

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