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【石仏は語る】在家尼僧による生前供養 加古川黒岩磨崖十三仏 兵庫・高砂

加古川黒岩磨崖十三仏
加古川黒岩磨崖十三仏
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 日笠山東側に「黒岩さん」と称される磨崖仏(まがいぶつ)があります。伝承では、遍照山時光寺の開基である時光坊が文永10(1273)年に堂宇を建てて阿弥陀如来を祀(まつ)り、百日座禅を組んで、刻んだといういわれがあります。しかし、実際は在家尼僧らが逆修(ぎゃくしゅ)供養(生前供養)のために刻んだものと思われます。

 山麓の天川に面した住吉神社の石段南面に、黒岩とよばれる巨岩壁があり、自然に露出した岩壁に仏像が刻まれます。その一面を、幅約180センチ、高さ約67センチの長方形に彫りくぼめて上下二段として、判読しがたい像容があります。

 下段は右から、不動明王▽釈迦如来▽文殊菩薩▽普賢菩薩▽地蔵菩薩▽弥勒菩薩▽薬師如来▽観音菩薩-という八仏を刻んでいます。いずれも蓮華(れんげ)座上にあり、不動明王の火焔光背(かえんこうはい)以外は、すべて円光背を負っています。

 また、上段には蓮華座上に円光背の勢至菩薩、阿弥陀如来、阿しゅく如来。そして求聞持(ぐもんじ)の法をとる虚空蔵(こくうぞう)菩薩は、その像容の右手に焔火(ほむらび)の生ずる剣を持っているようです。次の蓮華座上に円光背を負う大日如来は、智拳印(ちけんいん)を結んでいるようで、この五仏が並んでいます。

 これら上下十三仏は半肉彫りで刻まれ、像高はいずれも約22~30センチの坐像です。十三仏は亡者の追善法要を修めるとき、その年に配当された十三の仏と菩薩を拝するものであり、初七日から三十三回忌までの各法要をそれぞれ守護し、供養が成就するように、割り当てられています。

 この左端には四行にわたり「干時永正二(1505)年乙丑十一月二十八日逆修尼衆敬白」と銘文があります。在家尼僧らの逆修により造立され、室町時代中期に造作されたことがわかります。

(地域歴史民俗考古研究所所長・辻尾榮市)

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