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【近ごろ都に流行るもの】「『金継ぎ』教室」 国連も注目する和の感性 壊れた器の修復美

自宅地下の工房で金継ぎを指導する堀道広さん(左)。生徒も楽しみながら真剣だ=東京都国立市(重松明子撮影)
自宅地下の工房で金継ぎを指導する堀道広さん(左)。生徒も楽しみながら真剣だ=東京都国立市(重松明子撮影)
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 旅の思い出の陶磁器、大切な人からもらったカップ…。割れたら大ショック。でも、日本伝統の「金継ぎ」がある。割れや欠けを漆(ウルシの樹液)で接着し、継ぎ目を金粉で飾って新たな命を吹き込む。コロナ後の「おうち時間」がモノと丁寧に向き合うゆとりを与えたようで、金継ぎ教室が盛況だ。国際平和デー(9月21日)の式典で国連のグテーレス事務総長も呼びかけた。「破片をつなぎ合わせて新品をしのぐ器を作る金継ぎ。この精神で、国際社会の亀裂を埋めて平和を築こう」と。世界からも注目される日本の繕い文化。継ぎ目に宿る精神性が奥深い。(重松明子)

 「主人が茶道やってたから、集めた器が残ってるの。ここに持ってきたのも、ほとんど主人のよ。『遺品』ってほどのものじゃないけどね」。亡夫が愛用した湯呑や皿を金継ぎするマダムが、手を休めて答えてくれた。

 東京都国立市。漆職人で漫画家の堀道広さん(45)の自宅工房で、毎月第1、3土曜に開かれている教室「多摩金継ぎ部」を訪ねた。入部待ちが出る人気で、生徒の9割が女性。年齢は30歳くらいから70代以上までと幅広い。

 取材日に来ていた生徒6人も全員女性だ。税理士事務所、地方公務員、ネイリスト、IT企業…と勤務先も職種もさまざま。都心部の文京区や埼玉県など遠くから、修復したい器を抱えてやってくる。

 「国宝級の品はお預かりできません」という堀さんに、「ありませーん!」

 めいに頼まれたというダルマ柄のマグカップ、旅先で購入するも帰路の飛行機で割れた茶碗(ちゃわん)、行きつけの骨董(こっとう)屋でタダでいただいた割れ皿…などなど、繕いたい品にはそれぞれに物語がある。器を手に包み、黙々と漆を塗り、余分を研ぐ生徒たち。作業中に声をかけながら取材を進める。金継ぎを習得するメリットは? 「お気に入りがずっと手元に残る」「各地で集めた民芸品を惜しげなく使える」。そんな実用面のみならず、「手仕事に集中する時間が、いい気分転換になっています」との感想にも、皆がうなずいた。

御神渡りのような割れ模様が美しい皿(手前)。金継ぎで大切な器を再生(重松明子撮影)
御神渡りのような割れ模様が美しい皿(手前)。金継ぎで大切な器を再生(重松明子撮影)
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 「大切なのは、使う人の生活が豊かになること。材料選びや手法にも、その人らしさが表れます」と堀さん。教室では、伝統技法に簡略化の工夫もこらしている。漆接合→余分な漆の研ぎ落とし→穴埋め→中塗り(2、3回)→金粉蒔(ま)き→磨き。硬化の“ねかせ”時間も入り、5回で1クールとなる。

 「縄文時代から使われてきた漆は、安全性の高い強力な自然の接着・塗料。でも皮膚に付くとかぶれてしまう。このナゾの漆の奥深さに取りつかれ、文字通り“かぶれ”てしまいました」

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