被害者が明かすクマ襲撃の瞬間 新潟県“クマ出没特別警報”を発令

新潟県内では、エサを求めて人里に出没したクマが住民を襲う事故が多発し、11日には19年ぶりに死者を出す事態となった。これを受けて県は12日、最高の警戒レベルの“クマ出没特別警報”を発令した。長岡市の被害女性に、クマに襲われた瞬間を証言してもらい、専門家に被害に遭った背景を聞いた。(本田賢一)
19年ぶりの死者
畑作業中にクマに襲われ意識不明の重体だった関川村の女性(73)が11日、搬送先の病院で死亡した。死亡事故は平成13年10月16日以来、19年ぶりのことだ。
これを受けて県は12日、クマ出没特別警報を発令し、「命を守るためクマに警戒してほしい」と県民に厳重警戒を呼び掛けた。目撃地域では捕獲を進める。
県内でのツキノワグマの目撃件数は4月1日以降、今月19日までに過去最多の1091件。同日までの約4週間で10人がクマに襲われ死傷している。
クマから命を守るため、県は県民に対し、3つの注意事項を実践するよう要請している。(1)出没が確認された場所には近づかない、(2)単独行動を避ける、(3)音の鳴るものを携行する-の3点。とにかくクマに遭遇しないようにすることが重要だ。
それでも、万が一、クマと出くわした場合に有効なのがクマスプレー。「専門家によると、クマの退散に効果的とのことだった。山に近づく際は持参してほしい」と、県鳥獣被害対策支援センターの神戸淳所長は注意を促す。
襲撃の瞬間
豪雪地帯として知られる長岡市東部の栃尾地区。四方を山に囲まれた、のどかな盆地の集落で9月23日午後7時前、県内で今年初の人身被害が出た。
車で帰宅した20代女性が車庫から数十メートル先の自宅に向かう途中、やぶの中からガサガサという物音が聞こえてきた。日は暮れ、あたりは暗くなっていた。女性は次のように明かす。