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【一聞百見】「藤井棋聖レベルは普通」 糸谷哲郎八段が予測する「アフター藤井」の世界

将棋は早指し、読書の速さも尋常でない=大阪市福島区(恵守乾撮影)
将棋は早指し、読書の速さも尋常でない=大阪市福島区(恵守乾撮影)
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 棋聖と王位、2つのタイトルを最年少で獲得した藤井聡太さん(18)の活躍で、大いに盛り上がる将棋界。トップ集団であるA級10人のひとりで、大阪大大学院で哲学を修めた異色の棋士、糸谷哲郎八段(32)は「2、3世代後の棋士は藤井さんレベルの実力が普通になっているでしょう」と言う。将棋は劇的に進化しているらしい。どういうことだろう。関西将棋会館(大阪市福島区)で、インタビューに臨んだ。

(聞き手・坂本英彰編集委員)

■「ここぞ」でギア

 「棋士はギアを入れることができるんですよ」

 不思議な表現に、引き込まれた。棋士は運転免許を取らないひとが多い、という。糸谷さんも免許を持たない。なのにギア、とは。

 「普通ひとはいろんなことに注意を分散させていますが、棋士はクセで運転中でも将棋のことを思うと集中してしまう。それもゼロから10みたいに、いきなり。危険極まりない」

 運転には向かないが、棋士としては重要な素質だという。長い対局では緩急が大事。マラソン選手のようにペースを変える。ここぞという場面で頭のギアを入れ、思考を集中する。

 この言葉を裏付けるような対局が、インタビューの前日にあった。名人への挑戦権を争うA級順位戦3回戦で、羽生善治九段(50)と対戦した。午前10時にはじまり終局は午後11時半。中盤から終盤に入るまで羽生さんが優勢だったが、最終盤に形成が逆転。糸谷さんが140手で勝利を決めた。

 「苦しい戦いでしたが粘ることができ、最後は相手の時間がないことにも助けられました。将棋は終盤のウエートが大きく、逆転はよくあることです」。淡々と振り返りながらも、満足げだ。かつては遠いあこがれの存在であった羽生さんとの対戦も20局を数える。「いまは戦う相手であり、位負けすることなく戦えている」という。

(次ページは)勝負師いまは知的競技者…

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