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【日本語メモ】思考停止に陥る「レッテル貼り」

【レッテル】商標。ラベル。転じて、ある人物や物事に対する特定の評価

【レッテルを貼る】一方的に、ある評価・判断を下す(以上、広辞苑) 

 平成27(2015)年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされた「レッテル貼り」ですが、皆さん覚えていますか。安倍晋三首相は、自身が成立を目指した安全保障関連法案など政策への批判に対し、国会審議で「レッテル貼りだ」という表現を使って何度も反論したことから注目を集めました。法案の内容を吟味せず、一方的に悪いものだと決めつけないでほしいというものでした。

 確かに一度これはこういうものだと決めつけてしまったものに対しては、すでに結論が出ているものとして、それ以上は考えることをしなくなってしまいます。

 新聞記事を校閲する際、記事の内容を一字一句理解しながら精査していますが、慣用句の誤用などは社用の用例集に記載されている通りに、深く考えずそのまま修正してしまうことが多いです。

 ところが、誤用とされている慣用句・ことわざの中には、時の移り変わりによって誤りではないというものも出てきました。

 誤用の常連とされる「敷居が高い」という表現も、最近の広辞苑第7版では「高級だったり格が高かったり思えて、その家・店に入りにくい」と、それまでになかった意味が付け加えられました。

 本来の相手に不義理があって顔を合わせづらいという意味のほか、敷居をハードルや壁に置き換えると、乗り越えにくく入りづらいというイメージはできます。

 また、「三省堂国語辞典 第7版」では、それまで「的を射る」の誤用としていた「的を得る」という項目ができました。誤用が広まったから容認したのではなくもともと誤りではなかったという見解だそうです。「得る」にはうまく捉えるという意味があることから「急所をうまく捉える」と解釈できるからだといいます。

 ちなみに「三省堂」の社名の由来は、毎日三度(何度も)反省するという意味からついたようです。この改訂についても、社名の通り実行しているといえるでしょう。

 慣用句とは、習慣として長い間広く使われてきた言葉や言い回しのことで、時代に伴って変化していくものです。

 誤用といわれる方が多く使われるようになり、言葉の意味も間違っていなければ、そちらの方を正用として認めることを考えなくてはいけなくなってきます。

 記事中の談話などで、「格式が高く、入りにくい」の意味で「敷居が高い」と実際に話している場合はなかなか直しづらいですね。

 時代遅れの校閲記者だとレッテルを貼られないよう、言葉狩りに終始することなく、毎日3度は無理でも1度は自省するよう心がけていきたいものです。

(二)

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