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【田村秀男のお金は知っている】ポスト安倍のリーダーが「アベノミクス」の再生をうたうなら…「消費税減税」から始めよ

 安倍晋三首相の辞任表明を受け、アベノミクスについての成績評価を聞かれる。拙論は僭越(せんえつ)ながら満点100として、70点くらいだと答えよう。

 グラフは慢性デフレが始まった1997年度から、2019年度までの国内総生産(GDP)統計をもとに、年平均の名目、実質経済成長率とGDP全体のインフレ率であるデフレーターを3つの区分に分けて算出した結果である。

 1つ目は橋本龍太郎政権が消費税増税と社会保険料引き上げなどの激しい緊縮財政を行った1997年度から2012年度まで、2つ目は12年度から19年度のアベノミクス期、3つ目は以上を合わせた期間である。

 12年度までは名目成長率とデフレーターがマイナスで、実質経済成長率が辛うじてプラスだ。小泉純一郎政権による構造改革、リーマン・ショック、そして「コンクリートから人へ」の民主党政権、東日本大震災と、政策も経済環境も激動したが、名目成長率マイナスが示す通り、名目所得という生活実感に影響する名目GDPが大きく萎縮した。1997年度に533兆円だったのが、2012年度に494兆円、という具合だ。

 それに比べるとアベノミクス期間の成長率は名目、実質ともプラスで、名目成長率が実質を上回っている。名目GDPは19年度に552兆円へとかさ上げされた。デフレーターもプラスになった。確かにアベノミクスは経済のパイとデフレーターをプラスにさせたという点で評価できる。

 だが、日本経済は慢性デフレから脱したとは言い切れない。1997年度から2019年度までを通算するグラフを見れば、デフレーターは年平均でマイナス1・28%と97~12年度よりも大きい。名目成長率0・35%という低水準を実質ベースで押し上げている。

 脱デフレ未だ成らず、と拙論が主張する根拠は、物価がプラスになっても賃金上昇が追いつかないことにある。それこそが日本型慢性デフレ病の症状なのだ。今年6月と12年6月を比べた物価と雇用者平均月収の増減率はそれぞれ5・8%、2%である。コロナ・ショック前の昨年6月でも対12年6月比で5・8%、3・8%とやはり実質賃金は下がっている。

 パートなど非正規雇用の比率が高くなっているために雇用者全体の平均収入が上がらないのだと反論する向きもいるだろう。だが、常用雇用月収、パート月収について、今年6月と12年6月を比べると、それぞれ4・1%、3・9%とやはり物価上昇率を下回る。日銀によると同期間の消費税率引き上げ分を除外した物価上昇幅は3・3%である。つまり、消費税増税がなければ、常用、パートとも、ほんのわずかでも8年前の水準を上回ったことになる。

 アベノミクスの問題点ははっきりしている。最大の誤りはデフレ圧力のもとで消費税率を大幅に上げたことだ。ポスト安倍のリーダーがアベノミクスの再生をうたうなら、消費税率の大幅引き下げから始めるべきなのだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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