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【一聞百見】三つ星シェフがつくる「地球」と「愛」 夢は食とAIの融合 「HAJIME」オーナー、米田肇さん

味のデータ化に挑むという米田肇さんの挑戦は続く=大阪市西区(安元雄太撮影)
味のデータ化に挑むという米田肇さんの挑戦は続く=大阪市西区(安元雄太撮影)
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 この人が作る料理の数々がテーブルに運ばれてきた瞬間、感嘆の声を上げない人は恐らく、いないだろう。料理というより、食べることさえ躊躇(ちゅうちょ)してしまいそうな芸術作品のごときたたずまい…。平成21年10月、自身が手掛けるフランス料理店が、開店から1年5カ月というミシュラン史上最短記録で最高評価の三つ星を獲得した米田肇さん(47)。世界が注目し続ける天才シェフは、自身の道をクールに突き進むと同時に、新型コロナウイルス禍でかつてない危機に直面する飲食業界救済のため、汗をかくこともいとわない。

(聞き手・岡田敏一編集委員)

■大自然と数学が原動力に

 大阪メトロ・四つ橋線の肥後橋駅そばに店舗を構える「HAJIME(ハジメ)」。平成24年5月からはフレンチやイタリアンといったジャンルにこだわらない革新的な料理を提供する「イノベーティブ(創作料理)」となり、ミシュラン三つ星店として国内外の食通の間でその名をとどろかせる。

 20年5月、この地で開業以降、オーナーシェフとして店を切り盛りする米田さんだが、ジムで鍛えた体形はシェフというよりアスリート。質問に対する受け答えもIT(情報技術)企業の若手経営者のように極めて論理的で無駄がない。世界が認めた天才シェフは、あらゆる点において型破りな人物だった。

◇   ◇ 

 大阪府枚方市の中でも、野山に囲まれたのどかな地域で育った。父親は繊維関係の企業に勤めるサラリーマン。母親は専業主婦。幼少期は「ほとんど山しかなくて、あとは田んぼと川」という大自然を駆け回って遊ぶ日々。

 「どちらかといえば引っ込み思案な性格で、虫捕りなんかが好きでした」

 そんな米田さんがシェフになりたいと思ったのは小学2年生の時だった。

 「母は旬の食材を使い、丁寧に家庭料理を作る人でした。学校から帰ると手作りドーナツをふるまってくれたり。そして父は欧州出張のお土産でよくクッキーやチョコレートを買ってきてくれたのですが、あまりのおいしさに衝撃を受け、そんなこんなで、料理っていいなと思うようになったんです」

 さらに「当時、テレビの密着番組で紹介されていた海外で活躍する日本人のシェフが、フランスやアメリカで活躍し、ニューヨークのホテルで大統領から表彰され、プール付きの豪邸に住んでいて。コックコート姿もカッコ良くて…」。

 父親からよく聞かされた欧州の食文化の話も興味深かった。そんなわけで、世界で通用するシェフになりたいと思うようになった。

 その後もことあるごとに両親に「シェフになりたい」とアピールしたが「せめて高校は卒業してほしい」。次は高校卒業が近づくにつれ「シェフになるため、料理の専門学校に行きたい」と懇願するが、両親は「大学に進学するなら応援するけど、専門学校なら授業料は自分で払いなさい」。

 「なので調べたら、当時、入学金や授業料など諸々で約600万円もかかる」ことが分かり、数学が得意だったことから、近畿大学(東大阪市)の理工学部電子工学科に進んだ。

(次ページは)絵具とペンを包丁と食材に…

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