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【歴史、そうだったのか】先の大戦の激戦地で本格調査 フィリピン残留2世無国籍問題、今も終わらぬ「戦後」

フィリピン残留2世の国満アルファさん(右)とエルリンダさん姉妹。無国籍状態に置かれており、日本国籍の取得を望んでいる(PNLSC提供)
フィリピン残留2世の国満アルファさん(右)とエルリンダさん姉妹。無国籍状態に置かれており、日本国籍の取得を望んでいる(PNLSC提供)
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 戦前にフィリピンに渡った日本人移民の子で、父親と離別し現地に取り残された「残留2世」。これまで4000人近くが判明しているが、多くが戦後の混乱で日本、フィリピン双方の国籍がない無国籍状態に置かれている。日本国籍を取得する「就籍」を求める動きも高まりをみせるが、高齢化で亡くなる人も多い。戦後75年が経過しても、7000以上もの島からなるフィリピンでは「終わらない戦後」を生きる2世が今も多数存在しているとみられ、支援団体は今年に入り、先の大戦の激戦地・中部レイテ島などでも本格的な調査に着手した。(橋本昌宗)

 「父は自転車やアイスキャンディーを売っていた」「友人には日本人の大工がいた」「オオサワという写真家もいた」

 残留2世の日本国籍取得を支援するNPO法人「フィリピン日系人リーガルサポートセンター」(PNLSC、東京)が今年1月、レイテ島で行った在留2世の調査。聞き取りした国満(くにみつ)アルファさん(85)、エルリンダさん(79)からは、日本人移民に関する証言が相次いだ。

 PNLSCは、これまでに2世の多い北部のルソン島や南部のミンダナオ島を中心に残留2世の支援を行ってきた。昨年は初めて西部のパラワン島でも本格的な2世の調査を実施。今年に入り、先の大戦で日本軍と米軍の激戦の舞台となったレイテ島と隣のサマール島でも、地元自治体に協力を依頼するなどして情報収集に乗り出した。

 1932年に日本大使館が発行したとみられるアルファさんとエルリンダさんの父親の身分証には、名前は「国満ゲンジロウ」と記され、1888年生まれで本籍地は「山口県平郡(へいぐん)村(現柳井市)」となっている。

国満アルファさんらの父、ゲンジロウさん(PNLSC提供)
国満アルファさんらの父、ゲンジロウさん(PNLSC提供)
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 聞き取りによると、父親は1941年11月、日米開戦の直前に肝臓の病気で死亡したとされる。母親が生計を支えたが、戦争が始まると長兄は日本軍に通訳として徴用された。捕虜になった長兄は戦後、日本に強制送還されてその後亡くなったという。

 PNLSCは2005年に一度、アルファさんらと接触していたが、レイテ島には日系人会がなく、長らく連絡が途絶えていた。今回の聞き取りで改めて2人に日本国籍取得の希望があることを確認したという。

 PNLSCの猪俣典弘事務局長は「日系人会がある地域は会を通じて情報が集まるが、会がない場合、2世やその家族が遠方まで出向いて問い合わせるなどしないと、なかなか情報が集まらない」と打ち明けた。

× × ×

 2世たちは戦後、反日感情が強かったフィリピン国内で隠れるように暮らした人が多く、都市部などで日系人会が組織され始めたのも、戦後かなりの年月が経過してからだ。ただ、レイテ島など日系人が少ない地域では、今も会がないところも多い。

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