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「歌う警部」22年 現役続行を決意させたファンの手紙

昨年9月のコンサートで熱唱する室永さん
昨年9月のコンサートで熱唱する室永さん
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 「自衛隊の歌姫」「熱唱ポリス」…。かつて演奏専門だった“制服音楽隊”が歌入りの曲を披露するのは今では珍しくないが、鳥取県警音楽隊では22年前、すでに「歌担当」の隊員が入隊していた。歌う音楽隊員の先駆けともいえる室永(むろなが)宏道さん(47)は、自動車警ら隊や広報の仕事を兼務しながらキャリアを重ねて警部に。長い「歌手」人生では、熱烈なファンと紡いだ復帰劇もあった。

復帰の歌に「ブラボー」

 今年度、創立40周年を迎えた鳥取県警音楽隊。「音楽隊は警察広報の花形。『音楽隊の演奏あり』で人を集め、その場で組織がアピールしたいことを伝えれば効果的」。室永さんはこう話すが、記念すべき今年度が「歌う警察官」としてのキャリアの最後か、とも思っているという。

 そんな室永さんに忘れられないコンサートがある。平成28年9月、鳥取県庁講堂で開かれた恒例の県警音楽隊プロムナードコンサート。メドレーを含む5つのプログラムのフィナーレは、東日本大震災のチャリティーソング「花は咲く」。室永さんの歌を主体に考えた選曲だった。

 きれいに櫛(くし)を通した髪に丸ぶちの眼鏡。楽団の白い夏制服に身を包んだ室永さんは、スッと背筋を伸ばして登場し、澄んだテノールで歌い出す。徐々に声量を上げ、サビ部分では、気持ちの高まりとともに手と体が自然と動く。聴衆は歌に引き込まれ、小さく口ずさむ人も。いつしか会場はひとつになっていた。

 この日、コンサートを聴いたのは県民約100人。いつも通り最後列の席で静かに聴き入った鳥取市の益田奈津子さん(84)は後日、室永さんに手紙を送り、「(歌唱・演奏が終わると同時に)万雷の拍手とブラボーの声援で、大感動しました」とつづった。

ファンの手紙で現役復帰

 一方の室永さんは「期待に応えられただろうか」という思いにとらわれていた。実はこの日、室永さんがコンサートで歌を披露するのは10カ月ぶりのことだった。

 巡査時代から所属している音楽隊だったが「隊員は警部補まで」という不文律があった。27年4月の警部昇任と同時に指揮を担当する「楽長」に就任。翌年には歌唱・演奏の現場から離れ、「副隊長」として後方支援に回っていた。現場を離れるのは仕方のないこととあきらめていたが、歌えないのはやはり寂しかった。

 そんな室永さんを現場に引き戻したのが、益田さんら「ファン」の手紙だったのだ。

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