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【日本語メモ】新聞を「がっつり」読む

 予算との兼ね合いはありますが、国語辞典の改訂新版が出たときは購入します。最近はネットで事足りると考える向きもありますが、「紙の辞書」がやはり必要な時があるのです。映画にもなった小説「舟を編む」で、辞書づくりの現場が描かれていますが、改訂作業は少なくとも10年前後の歳月を費やす壮大なものです。三省堂の「大辞林」第4版は令和元年9月に約13年ぶり、岩波書店の「広辞苑」第7版は平成30年1月に約10年ぶりに、それぞれ全面改訂版として刊行されました。広辞苑の総項目数は約25万項目で、新たに1万項目を追加。最近定着した「ブラック企業」「スマホ」も収録。俗語では「がっつり」「ごち」「ちゃらい」も採用されています。とはいえ、新聞紙面で、「がっつり」「ごち」を使うのはためらわれます。

(1)自分では役不足かもしれないが、委員長を引き受けた。

 「役不足」は、「振り当てられた役に不満を持つこと、力量に対して役目が不相応に軽いこと」。平成24年度の「国語に関する世論調査」によると、この本来の意味で使っている人は全体の41.6%でした。「役の方が不足している」と捉えてください。例文のように「荷が重い、大役すぎる」など自分の力不足の意味で使うのは誤りです。本来は「この仕事は単純すぎて、ベテランの彼には役不足だ」というように使います。力不足に言い換えるのが簡単ですが、例文の場合は文の雰囲気があまり変わらぬよう手を入れてみました。

(正解例)自分には大役すぎるが、委員長を引き受けた。

(2)ベランダに虫の遺骸が落ちていた。

 「遺骸」は「死んだ人の体。なきがら。遺体」(広辞苑)。一方、「死骸」は「人や動物の死後の肉体。死体。なきがら」(同)。「遺」を付けることで死者の人格を認めるような敬意が込められますので、人間にしか用いません。法律用語などでは人間に死体を用います。この例文では、対象は虫なので「死骸」が正解です。

(正解例)ベランダに虫の死骸が落ちていた。

(3)今回の判決で汚名を晴らすことができた。

 「汚名」は「不名誉。悪い評判」(日本語大辞典)。「不名誉を除き払う」ことを「汚名をそそぐ」あるいは「汚名をすすぐ」と表します。漢字では「濯ぐ」「雪ぐ」と書きます。「汚名を晴らす」は「恨みを晴らす」「疑いを晴らす」からの混用です。

(正解例)今回の判決で汚名をそそぐことができた。

(4)A社の創世期について詳しく話を聞いた。

 「創世」は「はじめて世界をつくること。世界のできたはじめ」(広辞苑)。「創世記」は旧約聖書の巻頭第一の書。対して「創成」は「はじめてできあがること」(同)。企業の発足した期間はやはり「創成期」でしょう。「創世期」は大げさな感じがしますね。

(正解例)A社の創成期について詳しく話を聞いた。

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