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【中東ウオッチ】世俗主義の守護神を破った「黒いトルコ人」 世界遺産のモスク化に至る半世紀の対立 

7月24日、イスタンブール・アヤソフィア前で行われた金曜礼拝には多くのイスラム教徒が集まった(ロイター)
7月24日、イスタンブール・アヤソフィア前で行われた金曜礼拝には多くのイスラム教徒が集まった(ロイター)

 トルコの最大都市イスタンブールにある世界遺産の建築物アヤソフィアで7月下旬、約85年ぶりとなるイスラム教徒の金曜礼拝が行われ、周辺の沿道は詰めかけた多数の信徒で埋まった。「無宗教の博物館」と位置付けられたアヤソフィアをイスラム教のモスク(礼拝所)に戻したエルドアン大統領は、イスラムの価値観を重視する立場で知られる。アヤソフィアの地位変更に至る背景には、建国当初の国是である世俗主義と、イスラム保守層による半世紀に及ぶ対立の歴史があった。(カイロ 佐藤貴生)

疎外されたイスラム保守層

 アヤソフィアの地位は、イスタンブールを統治してきた国家の性格をそのまま反映している。ビザンツ帝国が6世紀にギリシャ正教の聖堂として建設し、オスマン帝国が15世紀にモスクに改造。同帝国崩壊後の1923年に成立した現在の共和制トルコの下で35年、無宗教の博物館となった。初代大統領アタチュルクの意向を受けた決定だ。

 アタチュルクはオスマン帝国期のカリフ(預言者ムハンマドの後継者)制を廃し、政教分離の世俗主義を国の基盤に据えた。狙いは「西洋化」を導入して国を発展させることにあった。

 しかし、トルコはイスラム教スンニ派の国民が圧倒的多数を占める。アタチュルクの遺志を継ぐ主要政党「共和人民党」(CHP)など世俗派勢力から「上からの西洋化」を押し付けられ、経済発展から取り残された地方部などのイスラム保守層は疎外感を持ってきた。

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