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【日本語メモ】日露関係が「ようやく」険悪化?

日本海海戦から115周年を迎え、満艦飾に彩られた記念艦「三笠」=5月27日、横須賀市
日本海海戦から115周年を迎え、満艦飾に彩られた記念艦「三笠」=5月27日、横須賀市

 今から25年ほど前のことですが、高校時代の友人が上京して来て、「どこか連れて行ってくれ」と言うので、横須賀市の三笠公園内に保存されている「戦艦三笠」を観覧することにしました。

 三笠は日露戦争(1904-05年)の日本海海戦でバルチック艦隊に完勝した連合艦隊の旗艦でした。

 艦内の展示物を見て回るにつれ、なぜか友人の機嫌が悪くなっていくのを感じました。どうやら彼は日露戦争を、日本が日韓併合や満州国建国などの「アジア侵略」を行う野望を秘めて引き起こした忌まわしい事と考えていたようなのです。

 そして、当時の世界情勢についての説明文の中に「日露関係はようやく険悪化し‥」との文言を見つけた時、彼の怒りが爆発しました。

 「ようやく険悪化って、これじゃまるで険悪化するのを待ち望んでいたみたいだ。嫌だね、軍国主義は!」

 確かに私もこの「ようやく」の使い方には違和感がありましたが、彼のあまりの剣幕に圧倒され、「昔はこんな言葉遣いもしたんじゃないかな」と、お茶を濁してしまいました。

 気になってしょうがないので帰宅後、辞書で「ようやく」の意味を調べてみました。

 (1)待ち望んでいたことが実現する。やっと。

 (2)苦労して目標が達成できる。なんとか。

 ほとんどの人が(1)と(2)の意味で「ようやく」を使っていると思いますが、もう一つ別の意味がありました。

 (3)物事がしだいに進行し、ある状態になる。だんだん。

 (3)の意味を当てはめれば、「だんだん険悪化」と同じなので何も問題ありません。

 友人の怒りと私の違和感は、(3)の意味を知らなかったための誤解であることが判明しました。ちなみに「ようやく」の漢字表記は「漸く」です。高校の数学で「漸近線(ぜんきんせん)」を習った時、数学教師が「『ざんきんせん』と読む人がいる」と嘆いていたのを思い出しました。

 読み方だけ覚えて意味は理解していませんでしたが、「漸く近づく線」つまり「だんだん近づく線」だったのです。「やっと近づく線」ではありません。

 友人とは三笠観覧時の気まずさが尾を引いて、20年近く没交渉となってしまいました。

 私の無知のせいで、あの時の彼の誤解を解くことができなかったことが残念でなりません。(は)

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