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現役新聞記者、初の囲碁タイトルホルダーなるか 河北新報の一力遼八段

第45期碁聖戦の挑戦者決定戦で勝利したときの一力遼八段
第45期碁聖戦の挑戦者決定戦で勝利したときの一力遼八段

 現役新聞記者が囲碁のタイトルホルダーになる日は来るのか-。囲碁の七大タイトル戦の一つ、第45期碁聖戦五番勝負で仙台市に本社を置く河北新報記者の一力遼八段(23)が、初防衛を目指す羽根直樹碁聖(43)に挑んでいる。第1局(7月18日)で先勝した一力八段。8月3日に行われる第2局に勝利すれば初タイトルにリーチがかかるだけに、注目度も上がっている。 (文化部 伊藤洋一)

思い入れ強い碁聖戦

 「碁聖戦は自分にとって思い入れの強い棋戦なので、挑戦者になれて光栄です。プロ入りを決めた年の碁聖戦(平成22年の第35期)は地元・仙台市で対局があり、控室にお邪魔して対局を勉強していた」

 一力八段は6月29日、張栩九段を破り碁聖挑戦を決めた際、こう話していた。

 前期は挑戦者決定戦で羽根に敗れ、第42期も準決勝まで進みながら敗退。それでも奮起して挑み続けるのは、碁聖戦を主催する新聞囲碁連盟(14社加盟)に自身の所属する河北新報も含まれるからだ。

 今春、早稲田大学社会科学部を卒業した一力八段は、同社の東京支社編集局に配属となり、記者と棋士の二足のわらじをはくことになった。父は河北新報社の一力雅彦社長(60)で、社長・会長を歴任した祖父の一夫氏(1925~2014年)は日本相撲協会の横綱審議委員長も務めた。高祖父・健治郎氏が明治30年に創業した河北新報社を将来、一力八段が率いるのは既定路線とされている。

学業と両立

 一力八段は13歳だった平成22年の夏季採用試験でプロ入り。25年には若手を対象にした棋戦で優勝し、26年には16歳9カ月の史上最年少で12人(当時)による棋聖戦リーグに入るなど、前評判通りの活躍をみせる。28年には第42期天元戦で初めて七大タイトル戦に挑戦。しかし井山裕太六冠(当時)に敗れると、翌29年の天元戦や2度の王座戦、そして棋聖戦の計5度、すべて井山の前に敗れ去った。6度目にして初めて違う相手、羽根碁聖はタイトル獲得26期を誇り、“平成四天王”の1人に数えられる強豪だ。

 井山三冠や芝野虎丸三冠がそうであるように、囲碁界では高校に通わず、10代のうちから盤上に集中することが活躍には不可欠とされてきた。そのため、高校に進学するときでさえ、「学校の勉強なんかする必要ないのに」というベテラン棋士もいた。

 しかし一力八段は学業と囲碁を両立させる。将棋界では22年に早大教育学部に在籍していた広瀬章人(ひろせ・あきひと)八段が王位を、26年には大阪大学大学院在籍の糸谷哲郎(いとだに・てつろう)八段が竜王を奪取した例がある。七大タイトルではないが、一力八段も囲碁界では初めて、大学生のうちにNHK杯とテレビ棋戦の竜星戦で優勝したのだ。

自分でリポート?

 記者活動のほうはどうか。現在は、コロナ禍で対局が中止になった囲碁棋士の実情と、自身が出場した4月の国際棋戦「夢百合杯世界オープン戦」準々決勝をあわせてリポートしている。「(卒業して)大学に行かなくなったので、囲碁に集中できる時間は増えた」というように、いまは「記者」より「棋士」業が最優先だ。

 今回の碁聖戦五番勝負についても「今のところ自分の対局を(記事として)まとめることは考えていません」と一力八段。ただ初の七大タイトルの獲得となれば、河北新報読者だけでなく、対局中に何を考え、どう向き合っていたか-などを読みたい囲碁ファンも多いだろう。

 「一力遼記者の碁聖戦リポート」。こんな新聞記事が登場すれば、囲碁人気にも寄与するのではないか。

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