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【石仏は語る】素朴で豊かな表情 愛着もたれ 羅漢寺五百羅漢 兵庫・加西

羅漢寺五百羅漢
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 戯(ざ)れ歌に、『親が見たけりゃ北条の西の五百羅漢の堂に御座れ』と詠われ、素朴で表情豊かな数ある石仏の中には、親しみやすい仏に出合うことができると言われてきた石仏群です。

 北榮山羅漢寺(らかんじ)という天台宗寺院ですが、かつては酒見寺支院があったとも言われ、明治時代の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)後、石仏群の場所に御堂が移築されて、今日に至ります。

 天保11(1840)年以降に刊行された『田安領記』には、「慶長十五(1610)年戌閏三月廿六日高瀬清右衛門再興」と記され、五百羅漢についても「寺内村の竹林の中に唖然として並立す、古風言はん方なし、何様古代の物と見え別に手足も作らず製作の年歴詳かならざれども」とあります。

 石材は高室石(たかむろいし)と一般的に称されている凝灰岩(ぎょうかいがん)を用いています。角柱状に加工した石材は、頭部となる部分だけを浮き彫りとして面相を表現。頚部(けいぶ)に刳(えぐ)り込みを入れ、以下はほぼ角柱のままに陰線刻により両手や衣紋を表現しています。その表現方法も概(おおむ)ね統一されているようで、規則性がある加工によって羅漢立像とする石仏が、大半を占めています。技巧的には高度ではありません。羅漢の中には地蔵菩薩、阿弥陀如来など梵字種子(ぼんじしゅじ)をいれた石仏があり、一体一体の表情が個性的であることから、石工の仕事ではないと見る方が自然です。だからこそ、その素朴さが好まれ、愛着があるのかもしれません。

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 刻銘を入れた石材は少なく、仁王坐像に「慶長十五年二月廿一□」銘を背面に入れ、舟形光背(こうはい)を負い蓮華座(れんげざ)に坐す釈迦如来三尊や獅子(しし)に乗る文殊菩薩、象に乗る普賢菩薩ほか諸仏は少なく、全体的に約460体の石仏群で構成され、織豊時代末期の造作です。

(地域歴史民俗考古研究所所長・辻尾榮市)

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