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震災被災地に国際基準のBMXコースをつくった 福山宏さん(56)

プレオープンしたBMXコースを背に震災復興への思いを語る福山宏さん(石田征広撮影)
プレオープンしたBMXコースを背に震災復興への思いを語る福山宏さん(石田征広撮影)

 今年5月、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県大船渡市三陸町越喜来(おきらい)に国際自転車競技連合(UCI)の基準を満たす東北・北海道で唯一のバイシクルモトクロス(BMX)レーシングの屋外コース(全長350~380メートル)を整備し、プレオープンにこぎつけた。

 青森市出身。震災までNTTPCコミュニケーションズでIT系サービスの企画や商品開発を担当してきた。被災地の惨状を目にして、復興に役立ちたいと志願し大船渡市に単身やってきた。平成23年4月7日だった。

 「そこらじゅう、がれきの山。津波への悔しさがこみ上げ涙が自然に流れた」

 長期出張扱いで、岩手、宮城、福島3県の震災犠牲者の身元確認システムをつくった。遺体の性別や特徴、身長、服装、発見場所などの情報をデータベース化、着衣や持ち物は写真で確認できるようにし、インターネットで検索できるようにした。臨時休校など防災情報を含む連絡を市内の小中学校の保護者に一斉メールでできるようにした発案者でもある。

 「被災地を震災前より良くする」の信念で震災復興にも全力投球。大船渡市の人口減少問題に取り組む株式会社地域活性化総合研究所を地元企業の出資で立ち上げ、主席研究員として地域おこしに知恵を絞ってきた。

 コースづくりは大船渡市三陸町甫嶺(ほれい)地区の自治会から、廃校になった小学校の活用策を依頼されて考えた。2008年北京五輪から正式種目になったBMXレーシングは最大8選手が一斉スタート、ジャンプあり急カーブありの起伏に富んだオフロードでスピードを競う世界的に人気急上昇中の競技。

 「三陸沿岸道の三陸インターチェンジから車で7分。仙台から2時間、内陸からも釜石道経由で2時間。すぐ近くに三陸鉄道甫嶺駅があり、親の送迎なしに子供が通える。このロケーションと太平洋を望む景観からBMXにたどりついた」という。

 コースの正式オープンはフランスから輸入するスタートゲートを設置する10月の予定。事業を支援する市も旧校舎を甫嶺復興交流推進センターとして整備し、72人収容の宿泊施設などを設ける。目指すは東北・北海道のBMXレースのメッカだ。

 気が付けば次男がコースづくり担当で、妻と長男夫婦が岩手の物産を扱う東京・高円寺のアンテナショップ「三陸SUN」を運営している。「ここは雪もなく快適。家族がこうなるとは予想もしてませんでした」と話す笑顔の中に震災復興に生涯をかける決意が垣間見えた。(石田征広)

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