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【中東ウオッチ】著名評論家を襲った凶弾 イラクに忍び寄る「暴力と混乱の時代」

7月6日に銃撃され死亡したハシミ氏=2018年10月14日(佐藤貴生撮影)
7月6日に銃撃され死亡したハシミ氏=2018年10月14日(佐藤貴生撮影)

 イラクの首都バグダッドで7月上旬、著名な政治評論家が銃撃されて死亡した。同国のカディミ首相が隣国イランに近いイスラム教シーア派武装勢力との対決姿勢を鮮明にした際、それを支持したために暗殺予告を受けていたとされる。欧米メディアは政権とシーア派武装勢力の戦いが激化する前兆だとして事件を大きく報じた。米国とイランの勢力争いもからみ、イラクに再び「暴力と混乱の時代」が訪れるとの懸念が強まっている。(カイロ 佐藤貴生)

■幅広い情報網

 殺害されたのはイラク人の評論家、ヒシャム・ハシミ氏(47)。6日夜にバグダッドの自宅前で車を止めようとした際、何者かが至近距離で銃撃してバイクで逃走した。犯行声明は出ていない。

 記者(佐藤)は2018年10月、バグダッドでハシミ氏にインタビューした。当時、イラクの支配地域をすべて失ったとされたスンニ派過激組織「イスラム国」(IS)について、ハシミ氏は「ISは決して終わっていない。亡霊のように生き残る」と予告した。

 ハシミ氏は、過激派によるテロだけでなく、イラクと周辺国との関係にも幅広い知見を有していた。

 シーア派大国イランは、イラクでも多数派を占めるシーア派との親和性をテコに、同国への食い込みを図ってきた。ハシミ氏はこれに対し、米国はイラク産原油を大量購入して経済を支えているとし、「米が支援をやめればイラクは1日も生き延びられない」と話すなど、米・イランの勢力争いの実態を詳述した。

 政府系シンクタンクの研究員だったハシミ氏は、海外の政府筋から武装勢力まで数多くの情報源を持っていたとされ、欧米のジャーナリストからも頼りにされていた。

 そんな第一線の知識人が暗殺されたのはなぜなのか。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は、激変しつつあるイラク情勢の「犠牲者」になったとの見方を示している。

■「自宅で殺す」

 イラク情勢に激震をもたらしたのは1月初旬、バグダッドでイラン革命防衛隊の有力司令官を空爆して殺害した米軍だった。米軍はこのとき、親イランのシーア派武装勢力「神の党旅団」(カタイブ・ヒズボラ)の創設者ムハンディス司令官も殺害した。

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