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注目される「災害情報無用論」 浸水被害で問われる避難のあり方 及川康・東洋大教授

台風19号による大雨で浸水した特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」から救助される人たち。事前の対策などが奏功し、人的被害はゼロだった=昨年10月13日、埼玉県川越市(共同通信社ヘリから)
台風19号による大雨で浸水した特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」から救助される人たち。事前の対策などが奏功し、人的被害はゼロだった=昨年10月13日、埼玉県川越市(共同通信社ヘリから)
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 東日本大震災から9年。同震災以上の津波被害が懸念される南海トラフ地震が迫るとされるなか、昨年の台風19号(死者104人、行方不明者3人、消防庁)、平成30年の西日本豪雨(死者263人、行方不明者8人、同)と、避難の遅れによる被害が相次いでいる。さらに今月も九州地方で多くの犠牲者を出す豪雨被害が起きた。深刻な被害が続く状況を受け、政府は災害の発生状況に応じ5段階の警戒レベルを設定し、それぞれの段階で、国民に避難を促す「逃げようキャンペーン」を始めようとしている。

 一方、東日本大震災以降、改正災害対策基本法、中央防災会議のワーキンググループの報告などを通じて、政府は「住民主体の防災体制への転換」を図っている。こうした矛盾した状況について、全国で住民への避難計画の策定などを指導している防災研究者からは「政府の逃げようキャンペーンは、住民主体の防災体制への転換を阻害する」と批判の声が上がっている。昨年の日本災害情報学会では「住民主体の防災体制の推進には、政府からの災害情報は無用」との発表が注目を浴びた。この、いわば“災害情報無用論”を唱えた防災研究者、及川康・東洋大教授に、真意と今後の目指すべき防災体制について聞いた。

(編集委員 北村理)

空振りが多い避難情報

 平成30年7月豪雨(西日本豪雨災害)をきっかけとして、昨年の出水期から「警戒レベル」の運用が始まった。おおまかにいえば、これは【防災気象情報】と【避難情報】と住民の【とるべき行動】の関係を明示的にひも付けてカタログ形式でまとめたものである。これにより、【避難情報】の役割がさらに強く明確になったと見る向きもあるようだが、筆者の見解は正反対である。氾濫エリアの住民にとってもっと重視すべき情報は他にある。

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