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におい発するクマよけの杭開発 秋田県立大准教授の野田龍さん(43)

においでクマ寄せ付けない木製杭を開発した秋田県立大の野田龍准教授(八並朋昌撮影)
においでクマ寄せ付けない木製杭を開発した秋田県立大の野田龍准教授(八並朋昌撮影)

 全国で毎年多くの人身被害を出すクマが人里に近づかないよう、嫌いなトウガラシ臭を発散する木製の「クマ忌避杭(くい)」を開発。木工メーカーと共同で市販することになった。

 「人の生活空間とクマの生息域に境界線を設けることで、母グマが子グマに“人里には近づかない”と教えて、駆除することなく人とクマが共存できる」

 こんな思いで秋田大講師だった3年前から開発のための実験を繰り返した。

 環境にやさしいハーブ類のうち、クマよけスプレーに使われるトウガラシに最も忌避効果があったが、においの発散をどう持続させるかが課題だった。

 「トウガラシパウダーとエタノールなどの混合液に直径3センチの木栓を漬け込み、これを長さ2メートル、直径12~20センチの杭に36個打ち込むことで、忌避に十分な発散が2年続くことを確認した。木栓を交換すれば発散をさらに持続できる」

 食害が続いた秋田県内のリンゴ園とブドウ園の周囲に設置したところ、クマの進入がなくなった。十分な実用性があるとして、6月に特許を申請した。

 福岡市の出身で、東京農大で林学を修めた。東京の治山コンサルタント会社に13年在籍し、秋田県内で90カ所以上の木製治山ダムを手掛けた。

 「仕事をするうち、純粋に人の役に立つ研究に没頭したくなった」と、秋田県立大大学院に社会人入学。途中でコンサル会社を辞め、九州大の土木プロジェクトに研究員として参加した。平成27年に博士号を取得し、翌年春、秋田大に講師として赴任した。

 直後に鹿角市で山菜取りの人が相次いでクマに襲われ、4人が死亡、3人が重傷を負う惨事が起きた。

 「ツキノワグマが絶滅した九州では安心だったが、秋田では山に入るとクマの痕跡があちこちにあり怖い。設置した木製構造物にも噛み跡が付いている」

 コンサル会社時代に現場で一緒になった横手市の木工メーカー「ウッディさんない」の技師と、クマ被害を話し合ったのが、今回の開発のきっかけとなった。

 今春、県立大の木材高度加工研究所に准教授として移籍した。「忌避杭をイノシシやシカにも応用し、現場に広く普及できるよう研究を続けたい」と意気込む。

 ウッディさんないは来年からの忌避杭の本格販売を前に「希望があれば今夏から販売する」とも。価格は直径12センチのもので1本1万2千円だが「量産化すれば安くできる」(同社)という。問い合わせはウッディさんない(0182・53・2600)。(八並朋昌) 

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