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【熊木徹夫の人生相談】夜中に届く同僚からの小言メール 

相談

 会社の同僚の行動についての相談です。同僚は時々、夜中に、「最近のあなたにはムカムカする」などと私の仕事へのダメ出しを長文で書き、怒った顔の絵文字付きで送ってきます。「そんなことで怒るの?」という内容です。

 彼女は普段、ニコニコして優しそうな感じです。メールを送った翌日でも、私に普通に話しかけてきます。ほかの同僚は「(私には)言いやすいんじゃない」と言います。彼女には特に親しい人もいないようで、相談できる相手がいないから時々爆発してしまうのか…。だからって、「なぜ私?」という気もします。彼女の胸の内をどう理解すればいいでしょうか。(50代、女性会社員)

回答

 あなたは、仕事や日常生活の憂さを晴らすのに、私を使わないでほしいというお気持ちでしょう。この同僚のあまりにも不可解な言動ゆえ、困惑されるのも無理はない。しかしおそらく、彼女は憂さを晴らしているつもりはない。それはどういうことか。

 「普段、ニコニコして優しそうな感じ」。これが彼女の“会社モード”です。そこにおいて、彼女は破綻なく自己演出ができている。自己演出とはいっても、そこには大した作為はない。しかし、「最近のあなたにはムカムカする」というのも一方の彼女の本音であり、それは自宅に帰ってから深夜にかけての“メールモード”で顕在化してくるのです。

 そこには非常に弱いものの、人格の解離が見られます。メールモードの彼女は、あなたを見下しており、このダメ出しはいわば“マウンティング”の表現です。あなたからすれば「全く余計なお世話」なのですが、彼女は「あなたのためを思って、忠告してあげている」という気持ちでしょう。だから、翌日あなたに対しそのことに触れないのも、きっと彼女の“思い遣(や)り”なのです。

 このようにどこまでも“善意”からの言動なので、反省などあるはずもない。ある意味たちが悪いのです。ではどう対処すべきか。今も実践されようとしていますが、彼女と二人で閉じた関係をつくらないことが重要です。彼女はおそらく「誰からも注意を受けないあなたに、直々に諭してあげている」という気でいますが、多くの他者とも交通していることが示されれば、隠微な二者関係は構築しにくくなる。ただ、彼女は寂しさを抱えているのです。その歪(いびつ)な表現が彼女のこのメールだとするなら、あなたも寛容に、少し引いた位置から眺めることができるかもしれません。

回答者

熊木徹夫 精神科医。昭和44年生まれ。「あいち熊木クリニック」院長。著書に「自己愛危機サバイバル」「ギャンブル依存症サバイバル」(ともに中外医学社)、「精神科医になる~患者を〈わかる〉ということ~」(中公新書)など。

相談をお寄せください

 住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記のうえ、相談内容を詳しく書いて、〒100-8078か〒556-8660(いずれも住所不要) 産経新聞「人生相談 あすへのヒント」係まで。〈メール〉life@sankei.co.jp〈FAX〉03・5255・6634。紙上での匿名は可能です。採用分には1000円分の図書カードを差し上げます。

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