PR

ニュース プレミアム

【田村秀男のお金は知っている】ポイント還元制度「マイナポイント」9月開始 内実は…経産省と財務省の確執劇

 昨年10月の消費税率10%への引き上げに合わせて導入したキャッシュレス・ポイント還元が6月30日に終わった。政府は9月からはマイナンバーカードとリンクさせたポイント還元制度「マイナポイント」をスタートさせるので、ポイント還元の空白による消費減は短期間で済むというのが当初の設計だが、消費税増税で需要を萎縮させるのだから無理スジというものだ。

 ポイント還元制度はキャッシュレスビジネスへの権益を広げようとする経済産業省官僚と、消費税増税を安倍晋三政権に実行させようとする財務省官僚の省益の醜悪な産物だ。内実は、クレジットカード業界やネット事業者が主体のQRコード決済などキャッシュレスビジネスで縄張りを拡大した経産省の思惑に、財務省が引きずられた感ありだった。

 これが決まった当時、知り合いの財務省幹部は苦虫を噛み潰したような顔で、賛成に回った太田充主計局長を「裏切り者」呼ばわりしていたのを思い出す。

 消費税増税は子育て支援など「社会保障の財源確保」が大義名分なのに、経産官僚の産業界掌握のために6月末までのポイント還元で7000億円以上、マイナポイントでは2458億円の予算を使うのはけしからんというのだった。

 以上の確執劇は国と国民の利益をそっちのけにしたエリート官僚の堕落そのものである。夕刊フジ6月29日発行の拙論「独話回覧」で詳述したように、そもそも消費税増税は国民の安心と安全を支えるはずの経済成長をぶち壊し、若者や子育て世代、中低所得層に負担を強い、パート、派遣など賃金水準の低い雇用形態を増殖させる天下の悪税である。コロナ恐慌はその紛れもない暗部をさらけ出した。

 財務官僚は確かに財政均衡を図る役割が求められるのだが、本分はマクロ経済、すなわち国内総生産(GDP)の5割前後に相当する予算を通じて国家を富ませることにあるはずだ。にもかかわらず国民を貧困化させる増税を繰り返すのは、見ていて気分が悪くなるほどの裏切り行為である。

 他方、経産官僚のほうは、いずれ自身を含むOBたちを天下りさせられる成長業種ににらみをきかせるというミクロ部門の仕切り屋であり、経済成長の原動力となる企業主導のイノベーション投資を導き出すはずが、需要を萎縮させる消費税増税に便乗する。その両省間の闇取引のために日本経済がボロボロになるのは避けがたい。

 グラフはキャッシュレス決済手段を代表するクレジットカード決済と小売り販売全体の推移である。昨年4月を100とした指数に転換して対比させた。消費者は「5%」還元などにひきつけられてしまう。なじみのあるクレジットカードばかりでなく、電子マネー、QRコードを使ったスマホと筆者のようなオールド世代も悪戦苦闘しながら試みる。だが、グラフが示すのは、消費税増税とコロナ不況の二重苦がキャッシュレスを道連れに小売り販売高を奈落の底に突き落とす地獄絵だ。(産経新聞特別記者・田村秀男)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ