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【田村秀男のお金は知っている】ボルトン氏「暴露本」が習主席を追いつめる! 米中貿易交渉「米側の譲歩」の目算すべて外れ

ボルトン前米大統領補佐官(ロイター=共同)
ボルトン前米大統領補佐官(ロイター=共同)

 ジョン・ボルトン前米大統領補佐官の回顧録『The Room Where It Happened(それが起きた部屋)』はすさまじい売れ行きのようだ。ハードカバー本をアマゾンに注文しようしたら、「現在在庫切れです。この商品の再入荷予定は立っておりません」。

 同書のさわりの部分は24日付の産経新聞朝刊などが詳しく報じているので、それらをもとに「米中貿易戦争」の今後を考えた。

 きわめつけは、昨年6月の大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に際した米中首脳会談である。トランプ米大統領は今年11月の米大統領選で自分が確実に勝てるよう協力してほしいと習近平国家主席に懇請、再選には「農家(の票)と中国による大豆と小麦の購入拡大が重要だ」と説明した。習氏が同意するや、トランプ氏は「あなたは中国の歴史上、最も偉大な指導者だ」と褒めた。習氏は新疆(しんきょう)ウイグル自治区のイスラム教徒少数民族ウイグル族などの強制収容施設の建設は正当だと主張すると、トランプ氏は同意したという。

 トランプ政権内での対中路線対立にも触れ、ムニューシン財務長官を中国におもねる「パンダ・ハガー」と呼び、自由貿易論者のクドロー国家経済会議委員長とともに穏健派が、ロス商務長官やライトハイザー通商代表部(USTR)代表、ナバロ大統領補佐官(通商問題担当)ら対中強硬派としばしば食い違う。昨年12月に発表された米中第1段階合意が「見掛け倒し」だと酷評した。

 ウイグル族と大豆・小麦の取引とは何とも衝撃的で、トランプ氏は「ウソだ」と全面的に否定している。実際にそうしたかどうかはまた別で、トランプ大統領は同書の中身が米メディアに報じられ始めると、ウイグル自治区での人権侵害を非難するウイグル人権政策法に署名した。

 以上のような暴露で、最も衝撃を受けるのは習氏だろう。ボルトン氏は大統領再選を国益より優先するトランプ流を非難するが、習氏にしてみれば、大統領選につけ込めば、米中貿易交渉で米側の譲歩を得られると踏んでいたのだろう。だからこそ、第1段階合意に応じたし、米国産品の輸入を拡大すれば、トランプ氏から対中制裁関税の撤廃を引き出せると読んでいたはずだ。

 この目算はボルトン氏の暴露ですべて外れた。トランプ氏は貿易戦争に加え、ウイグルや香港の人権弾圧問題などでも、習氏に手加減するわけにはいかない。中国に甘ければ、ボルトン本の通りだとみなされ、大統領選で不利になるからだ。

 現に、対中強硬派の筆頭、ナバロ大統領補佐官が22日に米テレビで中国との合意について、「それはもう終わった」と中国を突き放すと、トランプ氏はただちに「中国との貿易合意は完全に維持されている」、「彼らが合意内容を順守し続けることを期待したい!」とツイート。習氏は翻弄され続けるだろう。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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