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【石仏は語る】流麗な衣紋 華奢端正の面相 金剛輪寺阿弥陀如来石仏 滋賀県愛荘町

金剛輪寺阿弥陀如来石仏
金剛輪寺阿弥陀如来石仏
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 湖東三山のひとつ、金剛輪寺は天平13(741)年に、聖武天皇の勅願で行基が開創し、嘉祥(かしょう)年間(848~51年)には慈覚(じかく)大師円仁(えんにん)が中興したと伝えられます。鎌倉時代には近江守護の佐々木頼綱(よりつな)により修復。本堂は国宝に指定されており、周辺には鎌倉時代以後の石仏が多く見られます。こうした石仏には死後、地獄に堕(お)とさない、堕ちることなく極楽往生できるとする阿弥陀信仰をうかがわせます。

 「阿弥陀如来(あみだにょらい)石仏」は花崗(かこう)岩が使われ、高さ約1・36メートル。舟形光背を造り、周縁に線刻を入れて、頂部には陰刻月輪(いんこくがちりん)に阿弥陀如来梵字(ぼんじ)を入れています。左右には月輪に阿字(あじ)梵字を6カ所配しています。単弁蓮華(れんげ)座上には、像高約83センチの美しい上品上生定印(じょうぼんじょうしょうじょういん)の阿弥陀像が厚肉彫りされています。像容の繊細さに石工の技巧がさえて、両膝を大きく張り出す結跏趺坐(けっかふざ)、体に掛かる衲衣(のうえ、僧が身に着ける法衣)の流麗な衣紋は、その端正さから鍛えられた肉付きが想像されます。面相は写実的で華奢端正(きゃしゃたんせい)、見事な鎌倉時代後期の作品です。

 このほか、境内や参道沿いには多くの石仏が並びます。二天門をくぐったところにある阿弥陀如来石仏は、高さ約98センチの花崗岩に刻まれています。蓮華座に坐す像高63センチの像容は半肉彫りしたもので、舟形光背もほぼ自然石のまま造作されています。左右には陽刻月輪に観音菩薩と勢至(せいし)菩薩梵字を陰刻し、表しています。大胆なまでの結跏趺坐、面相は穏やかであり、微笑(ほほえ)みを感じさせます。南北朝時代末期ごろの造立です。

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 同時期の地蔵菩薩坐像石仏は、高さ約74センチの舟形光背に像高約38センチの半肉彫りです。格狭間(こうざま、台の側面に施された装飾)入りの基壇上に蓮華座を置き、線刻円光背に像容が納まり、右手に錫杖(しゃくじょう)、左手に宝珠(ほうじゅ)を持っておられる穏やかな、落ち着いた石仏です。

(地域歴史民俗考古研究所所長 辻尾榮市)

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