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【河村直哉の時事論】拉致問題未解決は「国家の恥」 横田滋さん死去

夫の横田滋さんの死去を受け、記者会見する妻の早紀江さん(中央)ら=9日、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)
夫の横田滋さんの死去を受け、記者会見する妻の早紀江さん(中央)ら=9日、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)

 「拉致問題を解決できなければ国家の恥です」。北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさん(55)=拉致当時(13)=の父親、横田滋さんが87歳で亡くなった。引用は滋さん、早紀江さん(84)ご夫妻の連名による産経新聞「めぐみへの手紙」(平成30年6月7日)から。「国家の恥」という言葉が、重く悲しく響く。

■「めぐみへの手紙」

 「手紙」シリーズは娘の一日も早い帰国を願うご両親の心境が胸を打つとともに、日本が抱える問題の本質をあらわにしている。すなわち国民を守れない国家が国家といえるのか、という問題である。いくつか引用する。

 「国家として救う信念がなければ、拉致問題は絶対解決しません。解決は国家の責務です」(平成29年9月16日)。

 「『不条理に連れ去られた国民を、毅然(きぜん)とした態度ですぐさま奪還する』。この当たり前になされるべき国家の働きがなされず、長年、放置されていた現実は誠に恐るべきものです」(平成30年11月14日)

 「私たちに、残された時間は本当にわずかです。全身全霊で闘ってきましたが、もう長く、待つことはかないません。その現実を、政治家や官僚の皆さまは、どう考えておられるのでしょうか。私たちはテレビで、のどかにさえ見える方々の姿を、見つめ続けています」(令和2年2月4日)

■戦後日本のなれの果て

 どれもその通りではないか。拉致問題を解決することは「国家の責務」にほかならない。国家は国民を守るためにあるからである。

 「手紙」が悲痛な訴えを始めた平成29年は、北朝鮮がさまざまな弾道ミサイルの発射を続け、挑発をエスカレートさせていたときでもある。それなのに国会がこの間、騒いできたのは、拉致でもミサイルでもなく森友・加計学園問題であり、あるいは「桜を見る会」だった。

 それらの問題を論ずるなといっているのではない。国政の優先課題が見失われているといっている。国家は国民を守るためにあるという原則をわきまえていれば、拉致問題は日本が解決すべき最優先課題の一つにほかならない。ところが国会は拉致被害者を救出するという「当たり前になされるべき国家の働き」をなさずに「放置」したまま、その他の問題を声高に騒いできたのである。

(次ページは)拉致は安全保障問題…

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