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歯のかぶせ「20秒でカチッ」患者負担軽減、驚異の新接着剤

 歯科治療で欠かせない「かぶせ物」の接着に関連し6月、新たな接着剤が発売された。高知工科大学の小広和哉教授(62)=構造ナノ化学=が開発した酸化金属のナノ粒子構造体「MARIMO(マリモ)」を使い、歯科材料メーカー「ヤマキン」(大阪市)が商品化。患者の負担を小さくし、確実に接着できるという。もともとは素材としての可能性に着目した「宇治電化学工業」(高知県)が小広教授と共同研究して量産化に成功していたMARIMO。2段階の産学連携の物語があった。

デコボコ球形、ベストな形状

 MARIMOは、耐火材や化学反応の試薬などに使われるジルコニア(ジルコニウムの酸化物)で、直径5ナノメートル(1ナノメートルは1メートルの10億分の1)のナノ粒子が100万個集まって球状になっている。

 誕生したのは平成23年。「丸くしたかったわけではないが、温度や圧力、反応条件などいろいろ試しているうち、たまたまベストの組み合わせで、できた」(小広教授)。表面がデコボコした球形をしており、阿寒湖(北海道)で有名な「毬藻(まりも)」に似ていることからMARIMOと名付けた。

電子顕微鏡で拡大した「マリモ」(宇治電化学工業提供)
電子顕微鏡で拡大した「マリモ」(宇治電化学工業提供)
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 当初は1日に20~50ミリグラムという耳かき一杯程度しか作ることができず、「どこかたくさん作れるところはないか」と小広教授が共同研究先を探していたところ、素材としての可能性に着目した宇治電化学工業が名乗りを上げた。

高知県の補助事業に

 同大のキャンパスで小広教授と同社との共同研究がスタート。同大客員研究員としてキャンパスに常駐している同社開発部の岡添智宏さん(46)は「なかなかうまくいかなかった。可能性を求め、温度、圧力、時間といった条件を変え、何百、何千回と実験を繰り返した」と振り返る。

 実験で良かったところを伸ばし、悪かったところを潰すという地道な手法。徐々に作れる量は増え、現在は1日に500~600グラムを生産できるようになった。「1回レシピができたら、再現性は高い。料理の煮込み時間と同じです」と岡添さん。共同研究は高知県の補助事業として採択され、現在も量産化の研究は続いている。

短時間で固まる

 このMARIMOについて、歯科用の接着剤として「使わせてほしい」と申し出たのがヤマキンだった。

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