PR

ニュース プレミアム

【日本語メモ】アジサイ七変化

 梅雨の時期の風物詩として広く親しまれるアジサイ。新聞表記は片仮名書きの「アジサイ」を原則としていますが、施設やイベント・作品などの固有名詞によっては漢字の「紫陽花」を使うことがあります。記事の初出表記には「あじさい」と読み仮名を振ります。

 ここで気を付けなければいけないことは、紫陽花という3文字が次の行にまたがらないようにすることです。紫陽(あじさ)花(い)でもなければ、紫(あじ)陽花(さい)でもない。2文字以上の熟語にまとめて訓読みをあてる「熟字訓」のため、3文字で紫陽花(あじさい)と読みます。ちなみに熟字訓といえば、梅雨も梅(つ)雨(ゆ)ではなく2文字で梅雨(つゆ)です。

 アジサイには多くの花言葉があります。その中の一つの「移り気」は、花の色が時期によって変化することから名付けられたそうです。初校のゲラ(組み上がった紙面のコピー)で行にまたがっている(あじさ)(い)の読み仮名を見たとき、別の意味でこの花言葉は当たっていると思ってしまいます。

 アジサイは土壌のpH(酸性度)で花の色が変わり「酸性=青」「アルカリ性=赤」といわれています。リトマス試験紙とは逆なのが面白いです。ちなみに広辞苑には「日数の経過や土質により、色が青から赤紫へ変化することから、七変化ともいう」と記載されています。

 アジサイの語源ははっきりしていませんが、「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」がなまったという有力説があります。ではなぜ「藍色」の花が「紫」のつく「紫陽花」という名前になったのでしょう。唐の詩人、白居易が別の花に付けた名前「紫陽花」を平安時代の学者、源順(みなもとのしたごう)がこの漢字をあてたことから誤って広まったといわれています。色だけでなく漢字の由来も「七変化」だったのですね。

 アジサイの漢字には花が含まれているため「紫陽花の花」と書くと一瞬、重言のような錯覚を起こしますが誤用ではありません。

 何はともあれ、サクラ、ツツジの後には色とりどりのアジサイの花が、コロナ禍の世の中で疲れた心を癒やしてくれることでしょう。(ふ)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ