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東京五輪を支えるアマチュアボクシング国際審判員 中川恵美さん(45) 岩手県雫石町

東京五輪のボクシング競技を国際審判員として支える中川恵美さん(石田征広撮影)
東京五輪のボクシング競技を国際審判員として支える中川恵美さん(石田征広撮影)

 全日本女子アマチュアボクシング大会のライトウエルター級(60キロ超~64キロ以下)で優勝3回の元全日本チャンピオンは昨年、難関で知られる国際ボクシング協会(AIBA)の国際審判員資格を取得した。国内で女性は3人目。来年に延期された東京五輪を裏方として支える。

 盛岡市の医薬品卸会社に勤めて10年目、28歳で転機が訪れた。異動で外回りの営業へ。数字のノルマを背負い、病院や調剤薬局の得意先を回る毎日。気が付けば体重は65キロ。友人に誘われるまま週1度のボクシング教室に通い始めたのは「ダイエットにでもなれば…」の軽い気持ちからだった。

 ところが、「ミットでパンチを受けるのが上手な人がいて、“パーン”と良い音がするんです。気分がスーッとして、すごくストレス解消になる。はまりました」と笑う。

 この快感に教室の競技コースを希望、ヘッドギアをつけ男子選手とも打ち合った。「肋骨(ろっこつ)にひびが入り、笑ったりくしゃみするだけで、ものすごく痛かった。でも、実力を試したくなって…。30代になれば体力も落ちる。今のうちに」とのめり込み、1年後には大会出場を果たした。

 165センチの長身。得意の右ストレートを武器に平成18、19、21年の全日本で優勝。女性の指導者と審判員が極端に少なく、現役引退後は周囲の要請で後輩を指導、国内の審判員資格を取得した。さらに上を目指し、昨年3月末までにレフェリーを203試合、ジャッジを748試合こなし、夏の筆記と実技試験に見事合格し、国際審判員の1(ワン)スターの資格を取得した。

 当初、審判員になるのにためらいもあった。「時に自分の判定で選手の人生を変えてしまう。責任が重すぎる」と思ったからだ。しかし、国際審判員の最高峰3(スリー)スターの資格を持つ花房克宗さんの「審判で一番大事なのは選手の安全」という言葉に背中を押された。

 「選手は自分の子供みたい。守れるのは自分しかいない。全うしよう」

 柔道整復師の免許を取り、審判に専念しやすい環境も整えた。

 五輪や世界選手権のレフェリーには3スターの資格が必要。東京五輪では1スターの資格で、2人一組でルールに基づきラウンドの時間を計測しゴングを鳴らすタイムキーパーなどリングまわりの裏方に徹する。

 国内で国際審判員として活動している女性はいま、中川さんしかいない。「次は女性初の3スターを目指します」と目を輝かせた。(石田征広)

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