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関心高まる種苗法改正、揺れる賛否に周知不足の声

 今国会に提出された種苗法改正案が揺れている。国内で開発されたブランド農産物の種苗が無断譲渡されたり、栽培されたりするのを防ぐのが目的だが、改正法が成立すれば「農家が窮地に立たされる」などと芸能人がSNSに投稿したように、反対論も根強いのだ。農業を守るためという法案がなぜ農家を追い込むことになるのか。この状況を現場の農業者はどう受け止めているのだろうか。(織田淳嗣)

シャインマスカットの衝撃

 ブランド農産物は一般の品種と違い、国に品種を登録して販売権など各種権利が保護されている「登録品種」を指す。この登録品種のブドウやイチゴなどの種苗が海外に持ち出され、栽培・販売される被害が報告されている。

 岡山県では、国が開発した登録品種の高級ブドウ「シャインマスカット」の苗木が海外に持ち出されて栽培されたうえ、JA全農おかやまが国内で持っていた「晴王」の商標を中国の現地業者が先に申請する事案があった。JAが一昨年12月に行った商標申請が却下されて発覚した。

 JAは対抗措置として昨年、中国当局への不服申し立てと商標の再出願を行ったが、認められるのは早くても今年の8月だ。JAの担当者は「先に取っておかないとこちらが訴えられかねない。しかし、かなり時間がかかっている」と話し、知的財産保護の難しさをうかがわせている。

 シャインマスカットはもともと国が国外での品種登録を期限内にしておらず、栽培自体は合法的に国外でできてしまうことになっていた。こうした事情もJA側には逆風となった。

国の登録品種で、岡山県が生産を奨励しているコメの「きぬむすめ」
国の登録品種で、岡山県が生産を奨励しているコメの「きぬむすめ」

現行法の抜け穴

 今回の法改正の目的は、こうした流出を、種苗づくりの段階「川上」で止めることにある。目玉は、農家が種苗を買って作った作物から得られた種や苗を次期栽培で使う「自家採種」を、開発者の許諾制としたことだ。

 現行法も、登録品種については、開発者の許諾なく自家採種の種苗でできた作物を販売することは禁じているが、自前の畑の中で種苗を作ること自体は違法ではない。農林水産省の担当者は「種苗は一度作られてしまえば、持ち出される瞬間を押さえることは現実的には難しい」と、法案の意義を説明する。

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