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アルコール度数上げに苦労 オリーブ酵母の日本酒誕生

 この春、香川県内の4つの蔵元が、特産のオリーブの実から採取した酵母を使った日本酒を発売した。「独自の酵母で日本酒を造りたい」という県酒造組合(高松市)の依頼を受けて酵母の開発にあたったのは、国内のオリーブ栽培の発祥の地として知られる小豆島にある、県産業技術センター発酵食品研究所(同県小豆島町)だった。商品化までの道のりを追った。

果実から酵母、酒造りの適性は

 オリーブから採取した酵母で日本酒を造れないか-。県酒造組合からの提案を受け、研究所で本格的な研究が始まったのは平成28年にさかのぼる。

オリーブから採取した酵母の顕微鏡写真(香川県産業技術センター発酵食品研究所提供)
オリーブから採取した酵母の顕微鏡写真(香川県産業技術センター発酵食品研究所提供)
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 提案の背景には、深刻化する日本酒離れがあった。昭和50年度には、酒類販売量に占める日本酒の割合はおよそ4分の1だったが、近年は数%にまで減少。消費拡大を図るには「独自性や目新しさのある商品が必要」と考えた県酒造組合が、県花・県木に指定されているオリーブに白羽の矢を立てたのだった。

 研究所で発酵食品の業務を担当する大西茂彦・主席研究員はそれまで、しょうゆに関する研究や企業の商品開発のサポートを担当。酒造分野の研究は初めてだったが、オリーブの花、果実、葉からの酵母探しに着手すると、すべてから有望そうな酵母が見つかった。

酵母を発見した経緯を説明する香川県産業技術センター発酵食品研究所の大西茂彦・主席研究員=4月16日、高松市
酵母を発見した経緯を説明する香川県産業技術センター発酵食品研究所の大西茂彦・主席研究員=4月16日、高松市
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 だが、採取した酵母が酒造りに適しているかは未知数だ。適性を確かめるため試験を重ねた。酵母が酸素を取り入れる力をみるTTC反応試験▽酵母がアルコールをつくる際に出る二酸化炭素の量を調べる発酵性試験▽酒造りに使える酵母かどうかを確認する遺伝子検査-を経て、果実から採取した数種類を酒造用酵母として特定した。

アルコールに強い酵母を求めて

 ところが、2年近く費やして特定した酵母を使って日本酒を醸造しても、アルコール度数は15度ほどにしかならないと判明。関係者から「途中で雑菌が入り、うまく醸造できない可能性がある」との指摘も受けた。

 アルコール度数が15度ほどにしかならない酵母では、「自らつくりだしたアルコールによって苦しくなり、それ以上のアルコールをつくれなくなる」と大西さんは解説する。よりアルコール度数の高い酒を造るには、アルコールに耐性のある酵母が必要だ。

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