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認知症の人を元気づける若年性アルツハイマー型認知症当事者 「おれんじドア」代表 丹野智文さん(46)

「認知症の人を笑顔にしていきたい」と語る「おれんじドア」代表の丹野智文さん=仙台市青葉区(石崎慶一撮影)
「認知症の人を笑顔にしていきたい」と語る「おれんじドア」代表の丹野智文さん=仙台市青葉区(石崎慶一撮影)

 認知症の当事者の立場で、認知症の人の相談に乗る「おれんじドア」の代表を務め、不安を抱える当事者を元気づける活動を行っている。おれんじドアは毎月1回、仙台市青葉区の東北福祉大ステーションキャンパスのカフェで開催し、認知症の当事者のみ6人ほどで話し合う。

 「当事者の家族が入ると家族が話すことが多く、本人と家族は分けます。2時間ぐらい話をすると、みんな明るい表情に変わります」と笑顔をみせる。

 同市内の自動車販売会社でセールスマンとして働いていた。人の顔や名前を忘れるなど仕事のミスが増え、医療機関で検査を受けたところ、若年性アルツハイマー型認知症の初期と診断された。平成25年、39歳の時だった。

 「何も分からなくなる」「寝たきりになる」といった思いにとらわれ、将来への不安で落ち込んだ。そうした中、認知症の不安を乗り越え元気に生きる男性と出会い気持ちが前向きになった。自分が元気をもらったように、不安を抱える当事者に元気になってもらおうと、27年におれんじドアをスタートさせた。

 認知症にはアルツハイマー型や脳血管性などさまざまな種類があるが、相談に来た人には病名や困っていることは聞かず、やりたいことを聞く。「認知症の人にも釣りや山登りなどやりたいことはありますが、周囲がやらせてくれない。本人のやりたいことが実現できるように手助けします。成功体験は当事者の気持ちを前向きにします」

 引きこもりがちな認知症の人のために、1年半前から、同市内の医療機関で、診察を終えた当事者と会う機会をつくっている。「自分の経験を話すと、共感して話してくれるようになり、みんな笑顔で帰ります。当事者だからこそできることがあります」と強調する。

 認知症と診断された後、勤務先から「戻れるなら戻っていい」と促され、総務・人事部門に異動し現在も働き続けている。通勤の電車で行き先が分からなくなることもあるが、そんなときは定期入れに挟んだ「アルツハイマー症の本人」を示す手作りカードをみせて周囲に助けを求める。「認知症の症状に対する工夫」という。

 認知症に関する講演活動で全国を巡る。新型コロナウイルスの感染拡大で一時中止しているが、昨年は100回を超えた。講演では自然に笑顔になるという。「社会を変えようとは思わないが、当事者は変えることができますから」と目を輝かせる。(石崎慶一)

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