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無色透明 水素の炎を太陽色に すべて手作りの水素トーチ(下)

■「禁じ手」を実用化

 それでも開発初期の段階では、トーチを持っていられないほど冷たくなり、燃焼の持続時間は、1人の聖火ランナーに必要な7分半に届かない5分ほどしかなかった。炎が小さくて熱が十分高まらず、容器が冷える悪循環も治らない。何より炎の小ささは、沿道で声援を送る人へのアピール力に欠けてしまう。

 試作品を何度作っても大きな炎が生まれず、水素使用の断念もささやかれた昨年9月頃。チームのエンジニアらは打開策を探ろうと、燃焼工学の第一人者である東京大の茂木俊夫准教授の研究室に駆け込んだ。

 茂木氏が提案したのは、水素燃料を扱う業界では禁じ手とされる「予混合」という技術だ。

 予混合とは、燃焼前に水素と空気(酸素)を混ぜ、一気に燃やす技術。少ない水素で大きな炎を出せるが、火が燃料の放出元まで戻る「逆火」という現象が起きやすく、危険性は増す。水素燃料に予混合技術を使うロケットの爆発原因の多くが逆火といわれる。

 茂木氏は、トーチ先端に設けた水素の吹き出し口の直径を一定の小ささに抑えれば、逆火を防ぐことができると考えた。こうなれば、水素が持続的に燃えるために必要な空間を確保することができず、炎をその段階で抑えられるという。

 チームでは、水素の吹き出し口と空気の吸入口に極めて小さい穴を細かく開け、逆火を防ぎながら予混合で大きな炎を生み出す技術を作り上げた。山岸さんは「最終的に予混合がブレークスルーとなり、実用化のメドがついた」と振り返る。最終的に、水素トーチは約15分の燃焼時間を確保した。

 チームは重さにもこだわった。約650グラムあるアルミ廃材を利用したトーチの外枠は、形状を維持しながら約150グラムを特注で削った。

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