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【河村直哉の時事論】コロナ禍 国家軽視の左傾のツケ

兵庫県の休業指示に応じず営業を続けるパチンコ店=2日、神戸市
兵庫県の休業指示に応じず営業を続けるパチンコ店=2日、神戸市

 予想された悪いシナリオが次々と現実のものとなっている。新型コロナウイルスで休業指示が出ても開店するパチンコ店があり、客が行列を作ったという。それでも罰則規定はない。緊急事態宣言の延長に関しても、要請に応じて休業したさまざまな業種の施設や店などに十分な補償はない。

■強制・救済力ないザル法

 いずれも、国家権力を軽視ないし敵視してきた戦後日本の左傾のツケが回ってきている。そもそも、休業指示や緊急事態宣言を法的に根拠づける改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に、強い罰則規定や補償措置が盛り込まれていてしかるべきだったのである。しかしこの法律にはそのような強制力や救済力がほとんどないことは、前回(4月21日)の当欄で書いた。お願いベースの、ザル法である。

 緊急事態下で3密状態のパチンコ店を開き、そこに行くなど、非常識である。思慮のない自分勝手な行為で感染すれば、医療従事者にさらに負担をかけ、高齢者ら疾病弱者に市中でうつしてしまうかもしれない。残念ながらそのような非常識な人間は、どこの国にも一定程度いる。それならば一般国民の安全を守るために、国家は強制力をもって事態をコントロールしないといけない。

 非常事態宣言の延長で、休業を要請されている施設などには負担がさらに重くのしかかる。これも本来、国家が権力をもって休業を指示し、代わりに補償をすべきである。しかし特措法はこの点も定めていない。政府がこれまでに示した経済対策は、スピード不足や手続きの煩雑さもあって、十分なものとはいえない。

■権力を警戒しすぎた

 なぜそのようなことになったかも、前回の当欄で述べた。要点のみ記せば、戦後日本は戦争への反動から国家権力を警戒しすぎた。そのような、自らの国家に否定的で、個人の権利や人権ばかりを唱える左傾思潮が日本を覆ってきたのである。

 この思潮の淵源(えんげん)のひとつは、連合国軍総司令部(GHQ)が作った憲法にある。憲法自体が国家権力を警戒し、脱国家的になっているのである。国家の権利を制限する9条はその最たるものだが、それだけではない。

 明治にできた大日本帝国憲法には、公共の安全を保つなどの目的で勅令を発する緊急事態条項があった。GHQ草案をもとに日本案の起草に当たった当時の法制局部長、佐藤達夫の回想録「日本国憲法誕生記」によると、「緊急勅令にあたる例外措置の条文は先方(GHQ)の強硬な反対に遭った」という。

 佐藤はその後も「3回にわたってしつこく談じ込み」、ようやく条文を入れさせた。しかしそれとて、現行憲法54条、衆院解散中の参院の緊急集会についてである。緊急事態条項とはとてもいえない。GHQは要するに、日本という国家が強い権力を持つことを嫌った。

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