PR

ニュース プレミアム

【粂博之の経済ノート】パチンコは止められないのか 脱出のヒントは行動経済学

パチンコ店の開店を待つ人たち=堺市
パチンコ店の開店を待つ人たち=堺市

 人は「おおかた死ぬまでは死なないと思ってる」ので、危険があると知っていても「比較的平気にしていられる」のだと、夏目漱石は「硝子戸の中」で書いた。こうした心理は、社会を円滑に動かすにはある程度必要とはいえ、時には障害になるものだ。新型コロナウイルス感染拡大の防止には人々の行動制限が必要だが、私権の制限が難しい日本では限界がある。そんなとき「行動経済学」が解決のヒントを与えてくれるかもしれない。

やめられないパチンコ

 ウイルスの感染拡大防止のため、大阪府がパチンコ店に休業を求めたが応じない店があった。府が半ば懲罰的に店名を公表すると、かえって客が増えてしまった。自分は感染しない、感染しても大したことはないと思っている人たちが平気でパチンコ台に向かったわけだ。

 将来ウイルスに感染するリスクと、今パチンコで得られる快楽をはかりにかけたとき、冷静に考えればパチンコを我慢するだろう。感染すれば自分が苦しむだけでなく、周囲に迷惑をかける。最悪死に至る可能性もあり、そうなればパチンコもできなくなる。

 しかし、分かっちゃいるけどやめらないという人は多いのだ。とくにギャンブル。カジノを誘致する大阪府、大阪市はギャンブル依存症対策を講じるとしているが、相当に難しい課題になることを予感させる。

朝三暮四のサル

 今さえよければ良いと考えることの浅はかさを表現する言葉に「朝三暮四」がある。朝方、飼っているサルに「トチの実を朝に3つ、暮れに4つやる」と告げると怒ったので、「では、朝に4つ、暮れに3つにしよう」と言うと喜び、納得したという。中国の古典からの言葉だが、フランス文学者、内田樹氏は「サル化する世界」(文藝春秋)で、現代にもそれは生きていると指摘する。

 しかし、多少はサル的でなければ、今を楽しく生きてゆくことはできない。また、人間は「おおかた死ぬまでは死なないと思ってる」からこそ、恐慌に陥らずに済み、社会を維持できる。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ