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友達関係、時間管理、自信の育て方…子供向け実用書好調 親も知りたい“ノウハウ”ぎっしり

 片付けや時間の管理など、学校では習わないけれど生活に必要な技術や心構えを教える子供向けの実用書が売れている。友達との付き合い方など人間関係のコツを紹介するものも。子供の悩みに応えているようで、実は親自身が教えるのが難しいテーマが選ばれている可能性もある。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、家で過ごす時間が増える中、子供向け実用書の需要はますます高まりそうだ。

教科を超えた生きる力

 子供向け実用書人気の火付け役となったのが、旺文社の「学校では教えてくれない大切なこと」シリーズだ。平成27年に「整理整頓」「お金のこと」など3冊を同時刊行。魅力的な人間になる方法を紹介する「ステキになりたい」「カッコよくなりたい」「自信の育て方」など自分磨き系から、「発表がうまくなる」「感性の育て方」など大人向けでも通じるようなテーマまで扱う。シリーズ29冊、累計発行部数は200万部を突破した。

 漫画形式で生活に必要な習慣や考え方を解説する。「保護者の方々が学校の教科の枠を超えて生きる力を養う機会を模索しているように考え、企画しました」と担当者。

 女の子向けに特化したのが、ポプラ社の「おしゃれマナーBook」だ。「つたわる話しかた」などシリーズ5冊で累計5万部を発行した。シリーズの「キモチの整理術」では、自分の気持ちとの付き合い方を解き、なりたい自分のイメージを持つように呼びかける。編集担当の小林夏子さんは「実用書というより自己啓発本のイメージで作りました。今の女の子は、必要以上に自信をなくしているように感じました。自分のいいところを見つけて、自信をもってもらえたら」と話す。

大人も読みたい

 子供向けといっても、購入を決断するのは保護者だけに、大人も読みたくなるような内容も多い。

 金の星社の「大人になってこまらない」シリーズは、「マナーと礼儀」「ネットのルールとマナー」などシリーズ7冊11万5000部を発行した。

 専門家が監修しているのが特徴で、早起きや時間管理について取りあげた「自分コントロール」は、大人向けの自己啓発本「すぐやる!」の著者、菅原洋平さんが監修した。

 「友だちとのつきあい方」では、約束を破られたときや誘いを断りたいときなど、大人でも判断に迷いそうな場面での、上手な気持ちの伝え方や対応を指南する。

 主なターゲットは10代だが、子供と一緒に読む保護者も多い。「子供のころに知りたかった」「完璧にできる大人も少ない」といった声も寄せられているという。編集部の野村茂樹さんは「保護者自身が整理整頓や時間管理のノウハウを持っていることはまれ。だからこそ信頼できる情報が詰まっている実用書が重宝されるのではないか」と推測する。

 大学生や新社会人も購入しているのが、学研プラスの「なぜ僕らは働くのか」(監修・池上彰)だ。「仕事とは何か」や「やりたい仕事の見つけ方」などを紹介。「自分の人生に向き合おう」「人生に正解はない」と呼びかける。

 今年3月中旬に発売されるとすぐに増刷が決まり、現在は4刷8万5000部。「職業や働き方は人それぞれで正解がない。働く、生きるについての大事なことを予習・復習できる本を作りたかった」と担当者は言う。

すぐに役立つものを

 子供向け実用書で扱われるテーマは多岐に渡るが、友達との関係や気持ちの整理、インターネットに関わるものが目立つ。

 立命館大の荒木寿友教授(教育方法学)は「今は世の中がギスギスしていて、ちょっとした失敗が大きな失敗になってしまうという懸念がある。親は子供の失敗を恐れる傾向もある」と指摘。「親も学校も忙しく、子供が悩んでいるのは分かっていてもじっくり話す時間を持つのが難しい。今は大人でも実用書が人気。すぐに役立つものが求められているのではないか」と話す。

 一方、出版科学研究所の久保雅暖(まさはる)研究員は「出版不況のなかでも、児童書やビジネス書は売れている。実用書は作家との関係がなくても作りやすく、児童書を作っていない出版社でも参入しやすい」と指摘する。(文化部 油原聡子)

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