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江戸時代の酒蔵復活、コロナ禍で「家飲みセット」に活路

小浜酒造が手がける銘柄=福井県小浜市
小浜酒造が手がける銘柄=福井県小浜市
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 地元の酒を守ろう-。その思いで、江戸時代の酒蔵が復活した。福井県小浜市の「小浜酒造」。市内に唯一残っていた酒造会社が撤退することとなり、事業を引き継いだ。そして今春、満を持して純米吟醸酒を送り出したが、新型コロナウイルスの感染拡大が襲った。同社の吉岡洋一社長は「起業には困難が付き物。覚悟して始めた」と力強く語る。

「地元の酒を守りたい」

 「これは江戸時代の緊急事態宣言になるのかな。こんな時代の荒波も乗り越えた酒蔵でした」。小浜酒造の役員、高岡明輝さんが指さしたのは「倹約書」と書かれた文書。「天保十三年」(1842年)とあり、江戸幕府による天保の改革で出された倹約令の内容を記したとみられる。

酒蔵に残された江戸時代の文書。天保の改革で倹約を命じたものとみられる=福井県小浜市
酒蔵に残された江戸時代の文書。天保の改革で倹約を命じたものとみられる=福井県小浜市
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 この酒蔵は文政13(1830)年にできた。当時の酒造元の操業はいったん昭和39年で休止していたが、平成28年、小浜酒造の設立とともに復活した。存亡の機にひんしていた地元の酒を守るためだった。

 50年ほど前には小浜市内に3~4軒の酒造会社があったという。だが数年前、唯一残った「わかさ冨士」が酒造業をやめる検討に入った。そこで立ち上がったのが吉岡社長と、その義理の息子にあたる高岡さんだった。

 当初はわかさ冨士の海外販路を開拓するサポートに回るつもりだった。だが、経営者の高齢化、需要の低迷から撤退が決定。このままでは地元の酒がなくなってしまうことになるため、主力銘柄の「わかさ」、地元限定で醸造していた「岳颪(やまおろし)」「百伝(ももつた)ふ」などの酒造りを引き継ぐ方向にかじを切った。

酒造り開始は簡単ではなく…

 だが、すんなりと酒造りを始められたわけではなかった。設備をそろえて醸造の生産能力を証明し、酒造免許を取得する必要があったためだ。

 古い酒蔵を再整備。わかさ冨士の工場で使っていた機材を引き継ごうとしたが、「瓶詰め機ひとつとっても、工場で使われた機械は古い酒蔵には大き過ぎた」と高岡さん。昔ながらの小規模な酒蔵では現代的な機材はサイズが合わなかったのだ。

 そこで機材を買う資金繰りに金融機関に駆け込むと「酒造免許がないと貸せない」と断られた。免許を得るための機材が、その免許がないため手に入らない-。八方塞がりに陥った。

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