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【読んで知るアート】解説書から小説まで 自宅で絵画を学ぶ

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 新型コロナウイルスの影響で美術館などが閉館、アートと接する機会も少なくなっているが、こんなときこそ美術を学ぶ機会。解説書から小説までとりそろえ、「読むアート」特集。(正木利和)

正続「名画を見る眼」 高階秀爾著

 出版されたのが昭和44年。おりしも、日本は大阪万博開催を翌年にひかえ、まさに高度経済成長期まっさかり。カバーには次のように書かれている。

 《現在、わが国では西洋美術の展覧会が相次いで催されており、西洋の名画に直接ふれる機会が多くなった》

 東京・上野に国立西洋美術館ができて10年。泰西の名画を日本で鑑賞する機会が増えるとともに、「漫然と眺めるだけではなく、一歩進んで西洋絵画の本質について改めてよく理解したいという要求」も増してきたのである。そこに、この本が登場した。

 いってみれば、「西洋美術鑑賞の手引書」で、正はファン・アイクの『アルノルフィニ夫妻の肖像』からマネの『オランピア』までの15枚、続はモネの『パラソルをさす女』からモンドリアンの『ブロードウェイ・ブギウギ』までの14枚が時代に沿って取り上げられている。

 いまだに増刷が続いているロングセラーである。著者は文化勲章を受章した東大名誉教授で美術評論家、美術史学者の高階秀爾氏(88)。絵画の図版を使い、その絵の特徴や意味をしるしたあと、最後に画家のプロフィルを紹介するという形式でさまざまな絵画が紹介される。

 たとえばフェルメールの『画家のアトリエ』ならば「不思議な静けさ」「巧みな奥行表現」「フェルメールの光」といった絵画の象徴的な部分をとらえ、解説してゆくのである。

 しかし、ここに選ばれているものが画家の最も有名な作品かといわれればそうともいいきれない。たとえばレオナルド・ダビンチであれば一番に『モナリザ』が浮かんでくるが、ここでは『聖アンナと聖母子』、レンブラントも『夜警』ではなく『フローラ』だ。

 著者は正編の「あとがき」に次のように記す。

 《ここに選んだ十五人の画家と十五点の「名画」はあるいは私の好みに偏りすぎたかもしれない》

 人の数だけ名画はあるということなのだろう。

 《時代をルネッサンスから十九世紀までとしたのは、歴史的に見て、ファン・アイクからマネまでの四百年のあいだに、西欧の絵画はその輝かしい歴史のひとつのサイクルが新しく始まって、そして終わったと言い得るように思われたからに過ぎない》

 まずは、正編からじっくり読みたい。(岩波新書)

「日本の近代美術」 土方定一著

 著者は美術評論界の第一人者として長く君臨した美術史家である。

 昭和41年に出版されたものだから、もうずいぶんたつが、日本の近代美術を概観しようとするときのテキストとしては、いまだに色あせないものであろう。

 本書の序章にある通り、近代日本の美術の展開は明治よりも前にさかのぼって考えねばならない。それは日本が西欧の科学的写実主義と出会う江戸期、つまり近世から始まる。

 たとえばそれは、狩野派や土佐派といった従来の画派とは異なって蘭学の影響を受けた平賀源内や弟子の小田野直武、司馬江漢、渡辺崋山らの手になるもので、明治期に写実主義を確立する高橋由一へと引き継がれてゆく。由一は『鮭』や『豆腐』など、それまでの絵画では主題となりえなかったものを選び取ったことで新しい時代を開いた。

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